ゴールへの嗅覚とスピードを持つボニー
次に紹介したいのは、フィテッセのコートジボワール人FWウィルフリード・ボニーだ。ハーフナー・マイク、安田理大のチームメートでもある彼は、昨季1月にスパルタ・プラハから410万ユーロ(約4億6000万円)で加入。昨季は半期ながら12得点、今季もすでに16得点、エースディビジのトップスコアラーだ。
ボニーはチームで、1トップ、2トップの一角、トップ下(4-3-3での中盤三角形の頂点)、と3つのポジションをこなす。
オランダ伝統の4-3-3の1トップを務めることから、ポストプレーはお手の物。ハーフナー・マイクがサイドに追いやられているのも、彼の高い壁を越えられないためだ。
ミチュよりやや劣るのはトップ下としての能力か。ボールは収まるには収まるが、そこからの展開力はあまり高くない。スペースの生まれやすいオランダだからこそ彼のパス精度でも機能できている、と見ることもできる。
だが、ミチュより確実に優れている点もある。それがゴールへの嗅覚と絶対的なスピードだ。
今季フィテッセは4-3-3でスタート。しかし、あまりフィットしていないとルッテン監督が判断したのか、最近では4-4-2も採用し始めている。スタイルとしては堅守速攻。コンビを組むレイスと共にボニーが快速を飛ばし、カウンターで勝ち点を拾っている。
現在の市場価値はミチュよりやや高い800万ユーロ(約9億400万円)。フィテッセは「オランダのシティ」の異名をとる、同国では唯一の金満クラブ。簡単には手放さないだろうが、大化けする可能性もあるだけに、先行投資の意味も込めて、少し移籍金を上積みして獲得しても損はないだろう。
本田圭佑も万能型の攻撃的な選手だ
この他にも、万能型の選手は今冬と来夏に市場を賑わすのではないかと見ている。
例えば、毎回市場が開くたびに話題になる本田圭佑もこのタイプだ。クラブではトップ下からボランチまでをこなし、代表では1トップを務めることもある。先に紹介した2人とは格が違うため、“お買い得な選手”ではないが、今冬も人気銘柄であることは間違いない(ちなみに市場価値は変わらず1500万ユーロ、約16億9500万円だ)。
本田の移籍に関しては、ラツィオ移籍破談の真相も含めて1月にレポートする予定だ。また、移籍しにくいCSKAモスクワのクラブ事情に関しても、ヴァグネル・ラヴの事例と共にお届けする。
移籍市場はもうすぐ開く。ビジャ、ファルカオ、スナイデルといった派手な選手に目を奪われがちだが、お買い得な万能型FWに目を向けてみるのも面白いだろう。
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