「常勝チーム」へ変貌を遂げるため、節目の一戦
4年という月日の間に、ここまで濃厚な経験を積んだクラブは、そうあるものではない。だからこそ栗澤僚一は自負する。
「多くの経験をして、うちは戦術面でも気持ちの面でも成熟した。個人としてもチームとしても、4年前とは全く違う」
ただし、柏の選手たちに「G大阪に対し4年前の借りを返す」といった“リベンジ色”が特別濃いというわけでもない。確かに、大谷秀和、栗澤、菅野孝憲といった、4年前の決勝戦に出場していた選手にとっては、少なからず当時の雪辱を晴らしたい思いはあるだろうが、それよりも純粋にタイトルを欲し、決勝戦の相手がただ単にG大阪だったという意味合いの方が強い。
それでも個人的には、天皇杯のG大阪戦に、何やら因縁めいたものを感じてしまう。2005年、甲府との入れ替え戦に惨敗した1週間後、当時J1で優勝したばかりのG大阪と天皇杯5回戦で対戦。ここでの善戦がチーム再建の第一歩となった。
4年前の決勝戦は何度も言及した通りだが、2010年のJ2時代にも天皇杯4回戦でG大阪と当たっている。その時は延長戦の末に1-4で敗れ、スコア上では大敗も、選手たちは「J2でやってきたことがG大阪にも通用した」と自分たちのサッカーに手応えを深め、これが翌年のJ1初優勝へつながる。
柏は、毎年タイトルを取れるチームになることと、常にACLに出場するチームになることを目指している。そして、今回の決勝戦に勝利すれば、柏は2年連続でタイトルを手中にし、ACLに出場できる。
これまで事あるごとに目の前に立ちはだかってきたG大阪という壁。今回の対戦もまた、常勝チームへの変貌を遂げるため、節目の一戦になるのかもしれない。
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