「工藤のためにも絶対に優勝する」
準決勝のメンバーが、サブを含めて17名という数字が示す通り、今の柏は怪我人と出場停止で満身創痍にある。決勝では、準々決勝、準決勝と、2試合連続決勝弾の工藤壮人が出場停止となり、守備の要である近藤直也も負傷欠場が濃厚だ。レアンドロ・ドミンゲス、茨田陽生、橋本和が戻り、決勝戦はやっと18名が揃うといったところだ。
準決勝終了後のロッカールームでは、工藤が選手1人1人と握手を交わし、「元日は頼むよ」と、熱い思いをチームメイトに託した。ここまでゴールでチームを引っ張ってきた工藤の不在は痛手だが、試合後、工藤が流した悔し涙によって、チームの士気は間違いなく向上した。決勝戦で、工藤に代わり1トップを務める田中順也は、その思いを受け継ぎ、「工藤のためにも絶対に優勝する」と心意気を露わにしている。
もともと、柏の天皇杯へのモチベーションは非常に高かった。2010年のJ2時代にも腕試しなどではなく、ネルシーニョ監督は「本気でタイトルを取りに行く」とメディアの前で豪語し、学生やアマチュアクラブが相手でも常にベストの布陣を組んだ。さらに今年は、クラブ史上初めてACLに出場。
このレベルの高い大会で得られる経験値の高さを知り、「またACLに出場したい」との気持ちが、さらに天皇杯優勝への思いを強くさせたのである。リーグ最終節で鹿島に敗れ、3位を逃したことによって、ACLに出場するための最後の手段として、天皇杯のタイトルを取るしかないと、俄然チーム内のモチベーションが高まった傾向がある。
3試合の出場停止が解け、満を持して決勝戦に出場するレアンドロはこう公言する。