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プレミアリーグ前半戦を振り返る―優勝争いのカギを握る香川真司

text by 植田路生 photo by Kazuhito Yamada

優勝の可能性はマンチェスターの2チームに絞られた

 話を上位陣に戻そう。前半戦が終わり、優勝の可能性があるのはマンチェスターの2チームに絞られたと言っていいだろう。

 チェルシーはさすがに離されすぎた。1月に大型補強でもしない限り難しい。エバートンとスパーズ、そしてアーセナルにも数字上可能性はあるが、元々のチーム力、タレントの質を考えても厳しい。

 今後を占う上で、ポイントになってくるのはユナイテッドの戦い方だ。現状は、得点も多いが失点も多い、言わば「3点取られても4点取る」戦いをしているが(目標として掲げることはあっても、これを実践できている時点ですごいことだが)、今後もこのような戦いを続けていくのかどうか。

 ファーガソン監督が、今の状態で質をさらに上げ、ポゼッション率が高くなれば次第に失点は減ると考えるのか。あるいは後半戦に向けて、守り方・選手起用を含めて守備の整備に乗り出すのか。

 個人的には前者の方にシフトし、チーム力を高めるのではないかと考えている。なぜならば、香川真司が復帰したからだ。

優勝争いの鍵を握る、香川真司の存在


ユナイテッドのキーマン、香川真司【写真:山田一仁】

 12月29日のWBA戦、香川は怪我明けにもかかわらずいきなり先発出場を果たし、先制点の起点になる浮き球のパスを出すなど、ユナイテッドに欠かせない選手であることを証明してみせた。

 たしかに、攻撃により重きを置くことは、他チームへスキを与えることにも繋がりかねない。だが、ファーガソンはリーグ戦だけではなく、チャンピオンズリーグの戦いも見据えている。そのためのキープレイヤーが香川だったのだ。

 百戦錬磨の老将は、従来のワイドアタック、FWの力技だけではなく、香川のように中央から突破できる選手こそが、ヨーロッパで勝ち抜くためには必要であることを悟っている。今後も香川が活きるよう、今の“攻撃偏重”ともとれるスタイルを続けるだろう。そうでなければ、最近目覚しい活躍を見せているエルナンデスを押しのけて、2ヶ月ブランクのある選手を先発で起用したりはしない。

 シティをはじめとする他チームが狙うべきポイントはまさにそこにある。前述したように、ユナイテッドはディフェンスに不安を抱えているから、恐れずに攻める勇気さえあれば、得点を奪うチャンスは十分にある。

 だが逆に、その圧倒的な攻撃力をリスペクトし過ぎてしまうと危険だ。中央を固めようにも、ユナイテッドはそこをこじ開ける術も身につけようとしている(言うまでもなく、そのキーマンが香川だ)。前半戦では、あまりにも敬意を払い過ぎているようなチームがいくつも見られた。後半戦も同様の状態が続くようなら、ユナイテッドが独走する可能性は高い。

 昨シーズンのようなドラマチックな展開を再現するためには、後半戦、ユナイテッドに対して他の19チームがどれだけ勇気を持って立ち向かっていけるかにかかっている。

【了】

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