現状の選手に異論はない。ただ私ならCBに……
――ザッケローニ監督の仕事ぶりをどう評価していますか?
「選手全員に攻守両面でハードワークを要求しているのは正しいと思う。チームは順調に成長しており、選手層も厚みを増しつつある。これまでのところ、結果も素晴らしい」
――ブラジル戦は、CFを置かないゼロトップのような布陣でした。
「前田が故障しており、フランス戦で起用したハーフナーの出来が今ひとつだったからだろう。ただ、CFを置かず本来はMFの選手ばかりを並べる場合、MFには非常に高い得点能力が求められる。ボールがしっかり収まり、決定力も備えたCFがいれば、私は4-2-3-1がいいと思う。私のCFのファーストチョイスは前田だ。ただ、異なるフォーメーションを用意しておくことは重要。その意味でも、ブラジル戦は良いテストになった」
――その他、選手起用に関して異論はありませんか?
「守備では吉田、長友、遠藤、川島ら、攻撃では本田、香川らを中心としてチームを作っていることに異論はない。ただ、私ならCBに闘莉王を起用する。身体能力と状況判断が素晴らしいし、精神的に逞しく、リーダーシップもある。中村憲剛も私の大好きな選手。攻守に貢献する究極のチームプレーヤーだ」
――今後、日本のフットボール界がさらに発展し、ブラジルとの差を埋めるには何をどうすべきなのでしょう?
「どこの国でも、根幹は国内リーグの発展と繁栄だ。Jリーグの各クラブが能力の高い選手を大勢育て、魅力的な試合を展開して、人々を惹きつけなければならない」
――それでは、クラブが優れた選手を大勢育てるためには?
「日本の選手育成の現状は、世界でもやや特殊だ。欧州、南米では、クラブの下部組織が選手育成の主な役割を担う。ビッグクラブは全国津々浦々にスカウト網を張り巡らしており、将来有望なタレントを連れてきて、育成のプロが時間と費用をかけて注意深く育てる。さらに、育成が巧みな他クラブと提携して優先的に選手を譲り受け、その見返りに育成料を払うクラブがある。
近年は、(プロチームを持たない)選手育成専門のクラブも増えている。日本では高校、大学がクラブにとって重要な選手供給源となっているが、クラブの下部組織がもっと大きな役割を発揮するべきだろう。選手とその親が『あのクラブのアカデミーに入れば、一流のプロ選手になれる』と思えば、優秀なタレントは必ず集まる。下部組織の育成責任者や指導者に経験豊かな外国人を起用するのもいいだろう」