強さだけではない大学サッカーの意義
育ち盛りの若者にとって大学での四年間はあらゆる意味で貴重だ。福岡大学の乾監督は、技術委員長としての立場で次のように言っている。
「年間40試合近くの公式戦がありますし、全日本大学選抜は国際試合が年間20試合、二~三回の海外遠征がある。これはJの若手には絶対にできないことです。
日本人の場合は肉体が18歳の時点で出来上がっていることは少ないので、フィジカルトレーニングも含めて大学でしっかりと積み上げたときにはじめて才能がぽん、と開花する選手も出現します。それがいまの大学からJへという流れにつながっているのではないでしょうか。
日本のいまの仕組みからいけばJリーグを引退したあとの備えもないと人生を生きていけない。サッカーにかぎらず人間的な成長も促す、Jリーグ後の人生のためにも、学びながらサッカーを高いレベルで追求できる、両方を叶えられるのがいまの大学サッカーで、Jに対して大学がどう、というより、日本の仕組みのなかでは大学サッカーなくしては成り立たなくなってきているのだと思います。
それは、我々がことさら声を荒げなくともわかっていただけるようになったのかな、と。
かつてならそのままJに上がった選手が大学に進んでいるので、いまは個々のレベルが上がっています。Jリーグで指導経験がある方が指導者を務め、人工芝のグラウンドやクラブハウスが揃い、へたしたらJ2の地方のクラブよりいい条件の大学もいっぱいあるので、みっちりやると18歳以降にうんと伸びる。
もちろんプロはプロであっていいんですけれども、JFLがたんにJ2の下というより、半分がアマチュアのJ3のような役割になっている。
大学はJや代表に選手だけでなく指導者や運営といったサッカー界を支える人材をも輩出しているところに価値があり、それが存在意義でもあるので、選手を送り出していることはその一部であるということはおさえておかないといけないと思います」