戦術と選手の特性の不一致が不安定さを生んでいる
ただし、こういったプレーはセンターバックだけに原因があるわけではない。ロングボールを蹴られる前の場面で、マンチェスター・Uは高い位置からプレッシングをかけていった。高い位置からマンツーマンでついて奪い取る、俗にいう「ハメる」守り方だ。この守り方はハマれば良いが、DFラインの背後にスペースを空けるため、失敗すると裏を突かれやすい。
浅いDFラインの裏に蹴られたとき、バルセロナであればCBに足の速い選手を置いているのでカバーできるが、マンチェスター・UのCBはそうではない。前から奪いに行く守備戦術と、人には強いがスピードのないCBというアンバランスさが、失点を生む大きな要因になっている。
もう一つは、バイタルエリアでボールを持たれたときの守備対応のまずさだ。34分のシーンがわかりやすい。スウォンジーの右サイド(マンチェスター・Uの左サイド)、高い位置でダイアーがボールを持ったとき、中央のスペースに下りてきたラウトリッジに誰もついていかず、ワンツーを決められてしまった。
バイタルエリアに入ってきた選手を誰が見るのか。本来であれば、CBFのキャリックもしくはクレバリーがバイタルエリアをケアするのがセオリーなのだが、プレスに行く意識が強いからなのか、前掛かりなポジションをとってしまうことが多かった。
マンチェスター・Uは16分にコーナーキックからエブラのヘディングで先制しながら、29分にスウォンジーの連動した攻撃から、最後はミチュに決められ1-1。その後にあったチャンスも決められず、今シーズン初めての引き分けに終わっている。とはいえ、スウォンジーにも何度も決定機があった。
この守備の問題をどう見て、どんな解決策を用意するのか。今日行われるニューカッスルとの一戦は、ファーガソン監督の“修正力”が問われることになりそうだ。
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