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連載コラム 12年前

日本代表に残る、解けないままの宿題―南アから変わらぬ2つのテーマ(前編)

text by 清水英斗 photo by Kenzaburo Matsuoka

活躍する海外組は増えたがそのほとんどは2列目

 無理もない話だった。欧州で活躍する選手が増えたといっても、そのほとんどは日本のストロングポイントである中盤の2列目やサイドバックの選手ばかり。FW、ボランチ、センターバックといったセンターラインに関してはまだまだこれからという状況で、ポジションごとにバラつきがある。これは日本サッカーの育成にも関わる大きな問題であり、代表監督が変わったからといって、わずか2年間で解決できるほど簡単な問題ではないのだろう。

 現状のチームが世界の強豪に対して結果を残すためには、今回のフランス戦や南アフリカW杯の岡田ジャパン、あるいはロンドン五輪の関塚ジャパンのように、大まかな戦術コンセプトとして、自陣に引いてコンパクトなブロックを作る守備的なリアクションサッカーをベースとして対抗するしかない。ブラジル戦はそれを改めて思い知らされる苦い経験となった。

 しかし、そのようなリアクションサッカーにはもう別れを告げたい。日本はもう一歩前へ進まなければならない。フランス戦のようなやり方で勝ち点を拾うチームでは、岡田ジャパンの結果を超えることは難しいだろう。

 日本代表がブラジル戦のように攻撃的に、世界の列強と肩を並べた戦い方で結果を残すためには、今後何が必要になるのか。10月の欧州遠征で改めて明らかになった日本の潜在的課題について、いくつかの具体的なポイントを述べさせて頂きたい。

 世界のトップレベルで活躍する攻撃的なチームには、必ず優れた守備的MFが存在する。パスの配給役として攻撃に貢献しつつ、相手のカウンターアタックの芽をサッと摘み取る選手。例えばブラジル代表ならラミレスとパウリーニョ。スペイン代表ならセルジ・ブスケッツとシャビ・アロンソ、あるいはEURO2008を制したスペイン代表ではマルコス・セナがその役割を担った。

 ブスケッツは以前、スペインメディアに対するインタビューの中で、「攻撃をしている間もボールを奪われたときのことを考えてプレーしている」と語ったことがある。このような思考で相手のカウンターの第一歩を遮断する選手がいなければ、攻撃に人数をかけることは看過できないリスクを背負うことになる。スペイン代表でもバルセロナでも、攻撃から守備に切り替わったときの相手のカウンターを防ぐブスケッツのポジショニング、寄せの鋭さには目を見張るものがある。

 そのような視点でザックジャパンを考えたとき、果たしてブスケッツのような働きができている選手が存在するだろうか。

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