【後編はこちらから】 | 【サッカー批評issue59】掲載
日本代表が抱える永遠の課題
2012年9月16日、ポーランド・ヴロツワフ――。ブラジル代表との親善試合を戦い、0-4という屈辱的な差を見せつけられた日本代表。現地のスタジアムでタイムアップの笛を聴いたとき、筆者は2010年の南アフリカW杯のデンマーク戦後に記者会見で耳にした前日本代表監督・岡田武史のコメントを思い返していた。
「正直に言うと、まだまだいろいろな意味で世界との差はあると思います。互角に攻め合ったら、我々の選手はそこそこやります。しかし同じ数のチャンスを作ったら、決定力の差でやられる可能性が大きい。あと、中盤のミスからカウンターで決定的なピンチを作られる。実際、オランダ戦も攻めに行ったとき、カウンターを受けて2度ほど大ピンチになっています。(中略)手探りの状況の中で『実はこれぐらいできる』『これ以上無理するとやっぱりやられるんだ』ということを選手たちが肌で感じて、つかみ始めたのは非常に大きいと思います。ボールを繋いでいくのは我々の得意なところですが、中盤で手数をかけ過ぎるとカウンターを受ける。そのへんのさじ加減と言いますか、判断を選手たちができるようになった」
世界トップレベルの国々に対し、高い位置からプレスをかけてボールポゼッションでも互角に戦う攻撃的なサッカーを目指したとき、昨今の日本代表には必ず露呈する潜在的な弱点がある。ボールを持ちながらも攻め切れず、相手のカウンターにやられてしまうのだ。おそらくこれは永遠の課題なのだろう。
最終的に岡田監督はこの問題の根本的な解決を諦め、南アW杯においては自陣に引いてコンパクトなブロックを作る守備的な戦術から勝ち点を拾う、言わば弱者のサッカーを選択。アジアの中で日本代表に立ち向かう対戦国のように、ポゼッションを捨て、失点のリスクを極力減らし、虎の子の1点を守りながら粘り勝っていく。その指揮官の決断はグループリーグ突破という結果を残した。
あれから2年――。今回のブラジル戦の大敗を見るにつけ、やはり岡田監督の見立ては正しかったと言わざるを得ない。ゴールに近づいてからの最後の打開力、そして相手のカウンターアタックへの脆弱さは、ザックジャパンになった今でも解決されていない。