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Jリーグ 12年前

ガンバ大阪のチームメートが体感する、背番号7の進化(後編)

text by 下薗昌記 photo by Kenzaburo Matsuoka

まだチームメートにさえ見せていない「ページ」を隠し持っている

「今、ヤットさんはフィジカルに対してアプローチしてるように思うんです。別に筋トレをするのは、ここ最近だけのことじゃないけど、海外組を意識しているのか、練習終わった後に、地味な体幹トレーニングをしてますよ。僕がガンバに来た1年目(2007年)の時なんて、ヤットさんが筋トレルームにいるのなんて見たことなかったですから(笑)。

 でも、結構、ヤットさんは球際上手いだけじゃなくて、当たりも強いと感じませんか? 落下地点に入り込んだ後、相手を体で押して制するプレーも上手いし、筋トレに取り組んでいる成果もあるのかもしれないですね。攻撃の時はいつも通り、ボールを散らしながらやっているけど、守備の時の気合いがこのところ、全然違います」

 さらに中澤はこんなエピソードを教えてくれた。

「明らかにコンタクトプレー時のフィジカルの強さをアップしにかかってます。去年も、ウルグアイ代表のプレーぶりに、ヤットさんは凄く燃えてましたから。『あいつら、最高だよ』ってよく言ってました。去年、ガンバの遠征の時にウルグアイの試合のDVDが流れていたんですけど、その直後のレイソル戦(前出第17節)は、相手を潰しに行ってましたから。後ろから見ていて、ウオー、行く行くって感じ。相手にいきなり強烈に行って、退場しそうな勢いでしたから。

 ハーフタイムに思わず、言いましたもん。『ヤットさん、ウルグアイに影響されすぎじゃない?』って。そうしたら、返ってきた答えが『オレ、退場するかもしれない』だった(笑)。明らかにコンタクトプレー時のフィジカルを上げにかかってます。それに根は思い切り体育会。高校時代のキツかった練習の話にはガッツリ食いついてきますから」

 淡々とボールをさばくボランチのみならず、時に前線でフィニッシャーとして、時に自陣で体を張る泥臭い守りの人として、ピッチに君臨する日本最高のプレーメーカー。彼が目指す2年後のW杯開催国には、かつて「エンサイクロペジア(百科事典)」の名で知られたブラジル代表の名選手がいた。遠藤保仁も、まだチームメイトにさえ見せていない「ページ」をきっと隠し持っている。

【了】

初出:フットボールサミット第6回

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