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Jリーグ 12年前

ガンバ大阪のチームメートが体感する、背番号7の進化(後編)

text by 下薗昌記 photo by Kenzaburo Matsuoka


守備面でも貢献度が高まっている【写真:松岡健三郎】

汚れ役も厭わない守備面での質と量の向上

 もう1点が守備意識の高さだ。「いい時は、ヤットさん滑るんですよ。ガッツリとスライディングとかしてるし、あの人が体を張れているときは調子がいいバロメーターで分かりやすいですよね」(武井)

 決定的なフィニッシュで、試合を決定づける勝負強さを増す半面で、クールなプレーメーカーは汚れ役も厭わない守備面の質と量も上げてきた。まだジーコジャパンの一員だった2005年当時、遠藤は時折、こう言ったものだ。「ボールは疲れない。無理に走らなくても、ボールを回せばいい」

 鹿児島実業時代はブラジル人コーチの指導を受け、自らもブラジルに短期留学。プロ入り後も横浜フリューゲルスで当時、現役のブラジル代表だったセザール・サンパイオらとプレーしただけに遠藤は「僕の小さい頃はブラジルを見る機会も多かったし、鹿実のコーチもブラジル人。影響は大きい」と語る。どちらかと言えば、自ら汗と泥にまみれるタイプのボランチではなかった背番号7を変えたのは「考えて走る」を標榜したオシム監督の指導だった。

 やはりジーコとオシムの下でプレーした加地は、僚友の確かな変化を感じ取っている。

「ヤットの動きの質は、確かに変わってきた。ここぞ、という時のゴール前に入っていくタイミングは、より攻撃的で、相手の隙を窺いながら行けるし、守備に関しても自分たちにとって嫌なスペースをしっかりと消せている。まあ、元々そういうセンスはあったんだろうけど、より動きの質に対する意識が明確になってきてますよね。きっかけはおそらく、オシムさんの時じゃないですか。代表で、考えて走って、その動きの質を上げてきたように思います」

 単なるボランチの枠を超え、攻守ともに質の高い現代的なMFに脱皮した遠藤が新たに目指すものとは――。日々ともに過ごすチームメイトだからこそ、感じ取れるものがある。

 技術も戦術眼も極めた感がある背番号7が意識するのは世界で戦う上で不可欠なフィジカルだ。中澤がこう証言する。

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