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アンドレア・ピルロ 天才レジスタの「戦術眼」(後編)

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Sinichiro Kaneko/Kaz Photography

難敵・ウディネーゼの存在

――逆に、最も難しい相手、戦い難いチームとは?

「ウディネーゼだね。それこそ守備のメカニズムという点で、あれほど隙のないチームは欧州全体を見渡してもそう多くはないはずだからね。一地方クラブがAで上位(第21節終了時、単独3位)に割って入ることがどれだけ難しいか。しかもそれを(昨季から)連続するということがいかに難しいことか。

 この事実だけでも監督グイドリンが果たした功績は今以上に高く評価されるべきだと思うんだ。そして何より、ウディネーゼのカウンターは文字通り“脅威”だからね。あの守備から攻撃に転じる際のスピードはまさに“殺人的”だし……(笑)。なので、今季のユベントスが最も苦しんだ試合が他ならぬ対ウディネーゼだったというのは決して偶然ではないんだよ」

――最後に、もう一問だけバルサについて。あのクラブによる支配はこの先も長く続くのだろうか?

「あれだけの才能を持つ選手たちで構成されたジェネレーションがいつまで続くか、そして、これから先に今の主力たちに取って代わる才能をどれだけ育てていけるか……。問われるのはその部分だと思うんだけど、ところが実際にバルサは継続してカンテラから次々に新しい才能を輩出してみせている。今現在のバルサそのものが全体として非常に若いのだから、きっとこれからも長く、少なくともこの先もまだ10年は彼らの時代が続くのだと思う。

 とにかく、今日のバルサはまさに芸術だからね。この僕も彼らの試合をTVで観る度に、思わず見惚れてしまうというのか……、ただただうっとりと言葉なく、眺めてしまうというのが正直なところだよ」

――一部報道によれば「ピルロはバルサでプレーできる唯一のイタリア人プレイヤー」とグアルディオラが語ったと言われているが……。

「だとすれば実に光栄だね。でもまぁ実際にはそれって叶わない夢だよ。なにせこの僕はもう歳をとり過ぎているから。夢の中で、もしくはプレイステーションあたりで一緒にやらせてもらうだけで十分だよ(笑)」

【了】

初出:欧州サッカー批評5

プロフィール

アンドレア・ピルロ
1979年生まれ、イタリア・ブレシア出身。95年にブレシアでセリエAデビュー、98年にインテルへ移籍。99年にはレッジーナから01年にブレシアに期限付き移籍後、シーズン終了後にミランに加入。11年よりユベントス。2002年にA代表デビュー。EURO04、08に出場。アテネ五輪ではオーバーエイジとして銅メダル獲得。2006W杯では優勝に貢献。

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