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酒井高徳、飛躍の原点を語る【ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.27】

text by 元川悦子 photo by Ryota Harada

高徳を少年団に誘ったコーチとの運命的出会い

 高徳少年が本格的にサッカーを始めたのは小学校5年。それまで学校の友達と遊びでプレーしたり、ひとりでリフティング練習をしたり、隣接する井関農機の敷地の壁を壊すまで熱心にキック練習をするなど、楽しむこと優先でボールを蹴っていた彼が、三条サッカースポーツ少年団(三条SSS)に入ることを決意したのは、こんなきっかけがあったからだ。

「近所の五十嵐川の河川敷でボールを蹴るつもりで出かけたら、その日に限って場所がなくて『今日はできないや』とションボリ座ってたんです。そこに自転車に乗ったおじさんが現れて『キミ、サッカー好きなの? 僕はサッカークラブのコーチなんだけど、よかったらウチに来ない?」と誘われた。その今鷹(昭三)コーチと出会わなければ、自分が三条SSSに入ることもなければ、サッカー選手になることもなかったと思います」と運命の出来事を今もハッキリと覚えている。

 今鷹コーチの誘いが胸に響いたのか、高徳少年は家に帰るや否や、父に『少年団に入りたい』と宣言した。「ちゃんと続けられるのか」という念押しにも「大丈夫。絶対やる」とキッパリ答えた。彼の変貌ぶりに家族も驚いたことだろう。ただ、練習場所が遠く、酒井家の両親は送り迎えができない。そこで同じ学校から三条SSSに入っている友人の親御さんに頼み、通えるメドがついたことで、高徳少年の入会がようやく叶った。

 練習は毎週火曜と日曜の2回。監督を務めていたのが現代表の小日向晃さんだ。この時点で20年近く少年指導に携わっていた小日向代表はゴールデンエイジの子どもに技術を修得させることの重要性をよく理解していた。ゆえにトレーニングではインサイドやアウトサイドキック、トラップ、ドリブルやリフティングなど基本練習を重視した。もともとリフティングの回数を増やすなどスキルアップに貪欲だった高徳少年は積極的に取り組み、グングン成長していった。

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