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編集日記 12年前

クールな内田篤人を心理学者が分析【フットボールサミット第10回】

text by 編集部 photo by Ryota Harada


内田篤人【写真:原田亮太】

ポーカーフェイスである強み

 スポーツではどうか。昔、アメリカにジョン・マッケンローというテニス選手がいて、彼はものすごく喜怒哀楽を露にする男だった。プレーにもムラッ気があり、負けているときはラケットを叩き付けたりするため、紳士の国イギリスでは「見苦しい」と嫌われていた。

 感情を露にすることの善し悪しは、ケース・バイ・ケースと言えるだろう。よく野球のストッパーが、感情ムキ出しに叫んだりガッツポーズしたりして自分と観客を盛り立てているが、あれは短時間の勝負だからこそ効果的な振る舞いと言えるだろう。

 サッカーは90分以上の長丁場。おまけに、カッとなってラフプレーをするとカードが出てしまうスポーツでもあるため、内田のように感情をコントロールしながら淡々とプレーするほうが合理的であると言える。

 また、感情を抑制できる人ほど大人としてのエチケットをわきまえていると評価され、周囲からの信頼を得やすいという利点もある。

 喜怒哀楽を露にするほうが人間臭くていいという意見もあろうが、喜怒哀楽を押し殺すことのメリットも、実はこれだけたくさんあるのである。

 では、もともと怒りっぽい人が、内田のようなクールさを身に付けるには、どうすればよいのか? そのコツを一つお教えしよう。人に対して苛立ちを感じたときは「どうすればこの人を納得させられるのだろうか」と考える癖をつけるといい。

 遅刻の常習犯に向かって「なんで遅刻するんだ!」と怒鳴るのは効果的ではないし、怒った自分にも不快感が残る。そういう場合は、「どういう言い方をすればこの人は遅刻しなくなるのだろう」と頭の中でじっくりシミュレーションしていると、次第に心が落ち着いてくる。

 スポーツやゲームで劣勢に回った場合や、敵に挑発された場合も、「畜生!」と感情的にならず、「勝つためにはどうすればいいか」だけをじっくり考え続ける癖をつけよう。

 そうすればあなたも内田のように、いつもクールな顔でいられるはずだ。


 本誌ではこれ以外にも、「無口であること」「鹿島への恩義を忘れないこと」「意外にもゴミを拾う習慣」などについても内藤先生が分析しています。
 
フットボールサミット第10回』を乞うご期待!!

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