なぜチェルシー攻撃陣は停滞したのか
決勝戦の2列目以降の人選は、アザール、マタ、モーゼス、トーレスの4人。このうち、人に使われてこそ活きるタイプはモーゼスとトーレスの2人。言い方は悪いが、マタが“お守り”をしなくてはならない選手が増えたことになる。
昨シーズン、マタの横にいたのは、ボランチが本職のラミレス、もう片方は最後まで固定できなかったがカルー、マルダ、アネルカ、トーレスが務めた。前線はドログバだ。アネルカを除けば全員がボールをもらってからアクションを起こすタイプ。マタの負担は大きかった。
チャンピオンズリーグこそドログバの超人的な個人技で勝ち取ったが、攻撃が機能していたとは言い難い。余談だが、アネルカがシーズン途中で上海申花へ移籍したことは少なくない影響があったと筆者は考えている。
決勝戦で見られたのも、昨シーズンのような“どん詰まり”のサッカーだった。何となく前線には運べるものの、そこから先に進めない、進む手立てがない。相手にリトリートされてブロックを作られると、途端に手詰まりになるのだ。
スペースがなければモーゼスのドリブルは通用しないし、小回りの効かないトーレスはただ攻撃に蓋をするだけの存在になってしまう。マタ、アザールがプレーしやすいようにオフザボールで積極的に動いているかと言えば、その様子も見られない。
オスカールを使っていれば勝っていた、などという“たられば”話を言うつもりはないが、マタが違った輝きを見せていたことは十分に考えられる。
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