オスカール先発落ちが意味するもの
下馬評ではチェルシーが圧倒的に有利だった。にもかかわらず、ボールポゼッションが70%を越えたわけでもなく、シュートの雨を浴びせたわけではない。リーグ戦やチャンピオンズリーグで負ける時と同様、攻撃陣が停滞し、どこかすっきりしない試合展開の中で失点し、それを返せずに終わった。
モンテレイ戦で見せた、流れるようなパスワークが見られなかったのは、2列目のユニットを変更したことにある。準決勝ではアザール、マタ、オスカールの組み合わせだった2列目を、決勝ではアザール、マタ、モーゼスと変更。純粋なウインガーであるナイジェリア代表のモーゼスを入れている。
モーゼスの出来が悪かった、などと短絡的な結論を出すつもりは毛頭ない。キープレーヤーはマタだ。
攻撃のタクトを握っているのは間違いなくマタ
昨シーズンから、チェルシーの攻撃のタクトを握っているのは間違いなくマタだ。DFライン近くまでボールをもらっての組み立て、サイドへの展開、ラストパス、プレースキック、そのすべてを担っていた。
これを読むと、マタは「人を使う選手」だと思われるかもしれない。だが、実際は逆だ。もちろん人を使うことも出来るが、どちらかと言えば「人に使われる」方が活きるタイプだ。
それが如実に見て取れたのが今季の序盤戦だ。アザール、オスカールとマタを上手く使うことができる選手が加入すると、裏への飛び出し、2人とワンツーをしてチャンスを演出と、昨シーズン以上の活躍を見せた。
その魅惑のユニットを解体すると、どうなるか。端的に言えば、昨シーズンへ逆戻りしてしまうのだ。
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