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【クラブワールドカップ】ダビド・ルイス、ボランチ起用のワケ

text by 植田路生 photo by Kazuhito Yamada

なぜダビド・ルイスをボランチで起用したのか?

 ベニテスが今シーズン、残りのタイトルをすべて獲ったとしても続投できるかどうかは不透明だ。何しろ、CLを制覇した監督でさえ、簡単にクビを切ってしまうクラブなのだから。

 そんな砂上の楼閣のような不安定なイスに座りながらも、ベニテスとて、ただ狼狽えているわけではない。

 現状の肩書きは暫定監督だが、そこから「暫定」の文字をとるためには、勝ち続けるより他ない。そのための一手が見えたのがモンテレイ戦だった。

 この試合でベニテスはCBが本職のダビド・ルイスをいきなりボランチで起用したのだ。チェルシーは、1月以降、ボランチのポジションが一気に手薄になってしまう。そこを見越してのことだったのだろう。

 今シーズン、この位置(4-2-3-1の「2」)で主に起用されていたのは、ジョン・オビ・ミケル、ラミレス、ランパード、ロメウの4人。だが、モンテレイ戦でも先発し、絶妙なポジショニングでチェルシーの守備を支えてきたナイジェリア代表のミケルは、1月のアフリカネーションズカップへ招集されることが濃厚だ。

 また、ベニテスが就任以降、重用していたロメウは怪我により今シーズンの復帰は絶望的。消耗が激しいポジションをラミレスと怪我がちなランパードの2人に任せなければならなくなってしまった。

 リーグ戦と比べて与し易いモンテレイ戦で試運転させた可能性は高い。プレー自体は、中盤での組み立て、前線への飛び出し、ボールホルダーへの激しいプレスなど及第点以上の活躍を見せたことから、帰国後もボランチでのターンオーバー要員になることは十分に考えられる。

 ちなみに、ロメウが怪我したのは直前のリーグ、サンダーランド戦。代わって入ったオスカールはそのままボランチでプレーしている。不人気とはいえさすがは知将ベニテス。チームマネジメントはひっそりと、しかし着々と進んでいる。

 帰国後に待ち受ける殺人的とも言えるハードスケジュールを乗り切り、上にいるマンチェスターの2チームに追いつく。そのためのプランが始動したと言ってもいいだろう。

 イングランドでは、どうもクラブワールドカップが軽視されている風潮があるようだ。だが、今シーズンが終わったとき、リーグ戦の行方を左右するようなターニングポイントが日本での試合にある可能性は決して低くはないだろう。

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