現地では圧倒的不人気のベニテス
もっともサポーターからの支持を得られていない監督が来日した。ラファエル・ベニテスだ。ロベルト・ディ・マッテオが解任された11月、チェルシーの新指揮官に就任したスペイン人監督は毎試合、ブルーズサポーターから激しいブーイングを浴びている。
ベニテスはリバプール監督時代、チェルシーの天敵だった。CL準決勝では、モウリーニョ政権のチェルシーと二度対戦し、いずれも退けている。一度目は疑惑のゴールで勝利(ゴールラインを割ったかどうか議論を呼んだ)、二度目はPK戦の末退けたものだ。
しかも、モウリーニョとの舌戦の末、チェルシーを卑下したようなコメントを何度も口にしていた。サポーターが忘れるわけがない。
一部イングランドのメディアは「バッシングから離れられる日本では集中して試合に臨める。ベニテスはじっくりとチーム作りを進められる」と、クラブワールドカップがベニテスやチェルシーにとっていい転機になる、との見方を報じた。
日本のファンも激しくブーイング
迎えた12月13日、クラブワールドカップ準決勝のモンテレイ戦。
ベニテスを迎えたのは、温かな拍手ではなく、イングランドよりは小さいが、ブーイングだった。
まずは試合開始前のメンバー紹介。選手全員が紹介された後にベニテスの名前がコールされるとゴール裏を中心にブーイング。
そして前半14分頃、試合会場の大型スクリーンにベニテスの顔がデカデカと映し出されると、これにもブーイング。TV中継ではあまり聞こえなかったが、スタジアム内でははっきりと「ブー!!」という声が聞こえた。
きわめつけは、前半16分。いまやチェルシーの試合ではお馴染みとなった前監督ロベルト・ディ・マッテオを称える拍手が起こったのだ。
現役時代、ディ・マッテオは熱いプレーでファンの心を掴んでいた。監督となってCLも制覇したレジェンドの解任をサポーターは許していない。せめてもの抵抗として、ディ・マッテオが現役時代に付けていた背番号16に因み、16分に彼に賛辞を送っているのだ。
ようするに、「ベニテス、ブルーズの監督はお前じゃないよ」というメッセージなのだ。
この儀式を知らない日本のファンもいたためか、イングランドでの試合のようにスタジアムが拍手に包まれるようなことはなかったが、ゴール裏の現地から来たサポーター以外にも、拍手をしていた日本のファンが確実にいたのを筆者は目撃している。