日本スポーツ仲裁機構で仲裁を自動受諾しているのは48%に過ぎない
――逆に失敗で言うと民意のない中でW杯用に作ってしまったがゆえに勝つことしか存在意義がなくなって、最後に破綻した大分の経営がひとつの例です。他に基本法理念から見てJリーグで問題と思うところはありますか。
「今も規約改正になっていないと思いますが、Jリーグの最終権限はチェアマンにあって他にもっていけないという条項(=Jリーグ規約第12章 第165条[ 最終的拘束力] /チェアマンの下す決定はJリーグにおいて最終のものであり、当事者およびJリーグに所属するすべての団体および個人はこれに拘束され、チェアマンの決定を不服として裁判所その他の第三者に訴えることはできない)。あれは大問題ですね」
――あれも当初はナベツネ対策で独裁には独裁で対抗していたと思うのですが、時代とともに見直されるべきですね。ドーピング冤罪事件のときは我那覇はあれで苦しめられたのです。あの規約のある限り、仲裁も拒否されて明白なシロもクロとされてしまう。
「それに関連する話なんですが、まだ日本スポーツ仲裁機構で仲裁を自動受諾している競技団体は全体の48パーセントしかないのです。サッカー界は例の我那覇君の件から受諾を探択したと思うんですが。それでも今、(他の競技団体は)そういう状況で結局はムラ社会で先輩神様、後輩奴隷みたいなものが引き継がれている。その意味では自動受諾条項の問題も含めて大きな試金石になるんじゃないかと思うんですよ。
そこも(スポーツ基本法によって)働きかけていけるわけです。スポーツ基本計画というのをこの3月にまとめるんですが、競技団体のガバナンスという意味では僕が3年前に我那覇君の質問をしたときと状況はあまり進展していないんです。今、中間報告を作っていますが、これからも市民がスポーツを通じての幸福を追求できるように動いていきます」
プロフィール
友近聡朗
1975年4月24日生、愛媛県出身。民主党所属の参議院議員。早稲田大学卒業後、ドイツ留学を経て2001年に当時JFLの愛媛FCに加入。2007年に退団し、同年、参議院議員選挙に愛媛選挙区から無所属で出馬し初当選。スポーツ基本法の策定に尽力してきた。