地上波から消えつつあるスポーツ中継
地上波のスポーツ中継がかなり微妙なことになってきている。
ゴールデンのナイター野球中継は全滅寸前。かつてはドル箱だった巨人戦のナイター中継が、ついに今年は年間6試合になった。原因は視聴率の低迷である。開幕当初はテレビを主戦場としたJリーグも、スカパー!が完全中継するようになったという理由はあるとはいえ、地上波での放送回数は激減した。そして、数年前まで大晦日の9時台を奪い合っていたK‐1、総合格闘技は、完全に地上波から消滅してしまった。地上波テレビのスポーツ中継全般が低迷期を迎えているのだ。
広告収入で成り立っている地上波放送でちゃんとペイできるのは、日本人が中心となって活躍する祝祭性の高いスポーツ大会に限られている。年始の箱根駅伝、浅田真央ちゃんが出場するフィギュアスケート、あとは石川遼くんが出てくるゴルフなどである。
日常性の中で行われてきたプロスポーツ中継は割の合わないコンテンツになってしまったのだ。一方、祝祭性の高いイベントの中でも、オリンピックやW杯といった世界的なイベント、つまり日本人が中心になって活躍しないものに関しては、スポンサー的にも、視聴率的にも価値は低下する一方だ。とは言っても、五輪、W杯の放映権料は年々、とんでもない率で高騰している。民放テレビ局がこの放映権を獲得し、地上波で放送するという形では採算が取れなくなる日は、近い将来間違いなくやってくる。
スカパー!やWOWOWの有料チャンネルで見てるから問題ない? それも甘い。コンテンツに金を払うという習慣が定着しない日本市場をスルーするジャパンパッシングが、コンテンツ市場で起こりつつあることに目を向けるべきだ。
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