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欧州で成功する選手、失敗する選手【サッカー批評 issue52】

text by 木崎伸也 photo by Kenzaburo Matsuoka

成功のキーワード2「“オファーの数”がひとつの判断材料に」

 現在、ヨーロッパ・トップリーグの1部を見ると、ドイツ9人、オランダ4人、イタリア2人、イングランド1人、スペイン1人、フランス1人、計18人の日本人がプレーしている。これからも益々増えていくだろう。

 では、これからヨーロッパに挑戦しようと考えている選手たちにとって、移籍すべきか、国内に留まるべきか、何を判断基準にすればいいだろうか。「オファーの数」が、ヒントのひとつになりそうだ。

 これまでの例を見ると、複数のクラブからオファーが来た選手は、ヨーロッパに行ってから成功する確率が高い。長谷部はセリエAのシエナからもオファーがきていたし、香川はケルンやフェンロも獲得に動いていた。今年8月、ドイツ2部のボーフムに加入した乾にしても、もともとはケルンが狙っていた。彼らは今、所属クラブでレギュラーとして活躍している。

受ける側が、オファーをしっかり吟味すること

 一方、売り込んで獲得してもらったケースだと、厳しい現状が待っている。8月にボルシアMGにテストを受けて入団した大津祐樹は、3節時点でまだベンチ入りすらない。

 香川のブレイクによってヨーロッパで日本人選手の評価が急上昇して、これまでより移籍の障壁は確実に低くなっている。これまでは日本人選手を獲得して失敗しようものなら、メディアから厳しく叩かれたが、今なら“たまたま外れクジを引いた”ということですまされる雰囲気がある。各クラブは実にオファーを出しやすい状況だ。

 それだけにオファーを受ける選手側が、自分が出場できる可能性をきちんと分析し、オファーを吟味することが必要だ。

 かつては売り込まなければJリーグを見てもらえない時代があったが、今は勝手にスカウトたちが来日してくれる時代になった。優秀なJリーグのタレントが外国でベンチに座っているだけなら、選手にとっても、Jリーグにとっても大きな損失だ。売り込むのではなく、ヨーロッパからしっかりとしたオファーが来たときに初めて、移籍を真剣に考えるような態度がスタンダードになるべきかもしれない。

初出:サッカー批評issue52

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