ブルガリア戦と変わらない日本の課題
大勝したブルガリア戦と惜敗のボスニア・ヘルツェゴビナ戦では、結果は大違いだが日本の課題は同じである。守備力だ。
最初の失点は相手のロングボールを吉田が競り勝ってヘディングではね返したが、セカンドボールが相手に渡った。そこへ森重が寄せていって、相手はもう1つボールを下げる。その直後、吉田の頭上を越すパスを蹴られてヘディングシュート、こぼれ球を押し込まれた。
最初にヘディングした後、吉田は後方へ下がったが、パートナーの森重は前に出て相手にプレッシャーをかけていた。この後にラストパスが入るのだが、その間に日本の最終ラインは実質的に吉田しかいない。
森重が前に出ている以上、両SBが内側へ絞り込んで3人で最終ラインを形成するのがセオリーだが、右で相手を見ながら絞り込んでいた酒井はともかく、左の長友が戻り切れていなかった。浮き球のパスは吉田と長友の間のスペースに飛んでいる。長友がもう少し絞り込んでいれば失点はなかったかもしれない。
この場面では全体的に戻るのが遅れていて、柏木や宇佐美が引ききれていないので長友が自分の手前にいる相手を気にしていたのかもしれない。失点の直接の原因は吉田が背後をとられたことだが、最終ラインを1人で守る状況になっていたこと自体が問題だろう。
2失点目は、FKを素早く右サイドに展開され、そこへ長友が素早く寄せていったが逆をとられてカットインされたのが発端。ファーストコントロールで抜かれていて、やや不用意な寄せ方だった。長友が抜かれたため森重がボールホルダーに対応、そのとき中央にいた吉田はジュリッチをマークしていた。
ジュリッチが斜めに動き、吉田はマークを継続したがスルーパスが通り、シュートを打たれてゴール。吉田が止まればジュリッチをオフサイドにできたかもしれないが、マークを継続するという判断も間違いではない。ただ、わずかだがジュリッチに振り切られていてスピード不足は否めなかった。