北海道コンサドーレ札幌の野々村芳和社長【写真:工藤明日香/フットボールチャンネル】
「J1昇格を決めることができ、ホッとしています。今季の42試合、そして自分が社長になってからの4年間を振り返ると、率直にそんな気分です。シーズンが始まる頃の見通しを考えると、1位での昇格というのは……正直言って驚きです。
やはり開幕するまではセレッソ大阪さん、清水エスパルスさんがJ2では抜き出た存在だな、と見ていました。イケるな、と思ったのはイナがゴールして勝ったセレッソ戦の後から。この試合は大きな分岐点でした(編注:4月23日第9節、ホームのセレッソ大阪戦。稲本潤一による82分の決勝点で勝利した)。
今季は若い選手が本当に良く成長した。増川、稲本、小野らベテラン陣もしっかり締めてくれたし、外国人選手とも上手くかみ合った。チームにいい流れが出て、総合力が上がったことが勝ちにつながったと思います。
シーズン終盤、足踏みしてしまいました。もちろんハラハラ・ドキドキしましたが、原因は分かっていたので焦りはなかったです。稲本らベテラン陣やブラジル人選手が相次いで怪我。チームが伸びてきた要素を同時期に失えば、勝ち点を伸ばせなくなるのは当然です。
来季戦っていく上で、ポイントになるのは強化費です。もっと売上を伸ばして強化費に回さないといけない。例えば、これまでは5億円の強化費でJ2を戦ったのに、J1に上がってもそこは変わらなかった。これでは厳しい。今季は約6億円でしたが、これを10億円以上にし、さらに上手く使っていかないと厳しい戦いになります。
強化費を増やすために、アジア戦略もその一環です。上手くプロモーションにつなげてコンサドーレという価値をどう高めていくか。それは売上につながる話です。東南アジアの選手のクオリティは年々上がっているので、戦力面でもプラスになりますからね。
今季の昇格は奇跡に近いと言えるかもしれません。チームを頑張らせてくれたのは地域やサポーターの力に他なりません。感謝しかありません。みなさんのおかげでここまで来ることができました。
ただ、この先さらに上に行くには、より多くの力が必要です。そのためにももっと多くの方々にかかわって欲しいと思います。来季以降も北海道コンサドーレ札幌をよろしくお願いします!」
野々村芳和(ののむらよしかづ)
1972年生まれ。現株式会社コンサドーレ(北海道コンサドーレ札幌の運営会社、2016年1月より「北海道フットボールクラブ」より社名変更)代表取締役社長。慶應義塾大学卒業後の1995年にジェフユナイテッド市原でプロデビュー、2000年にコンサドーレ札幌へ移籍。翌年引退。TV番組「Jリーグラボ」などでの歯に衣着せぬ発言はサッカーファンの間でも話題。
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