定位置の再奪取から再びベンチへ。長友、今季は出場機会を得られず
11日、インテルは日本代表DF長友佑都について、「神経系の診断をしたところ良い状態にあった。2日間別メニューでの調整を経て、木曜日から練習に復帰する」と発表した。
言うまでもなく、日本代表離脱の原因となった練習中の脳震盪のことである。「代表を外されなければならないほど重症だったのか」と思われた方もいるかもしれないが、そういうことではない。たとえ軽微なものであっても、脳機能の正常化には数日間の静養を要するという。
もし脳機能の正常化が完全でない状態で強い衝撃が加わると、重篤な脳損傷に繋がるリスクが高まる。スポーツ医学上ではセカンドインパクト症候群と呼ばれており、死亡率は50%以上に跳ね上がるとされている。
FIFA(国際サッカー連盟)、IOC(国際オリンピック委員会)、IRB(国際ラグビー評議会、現ワールドラグビー)、IIHF(国際アイスホッケー連盟)など主たる国際スポーツ団体はスポーツ脳震盪対策の会議を行っており、診断並びに回復のための指針も共同声明という形で採択されている。競技復帰までのプロセスは段階を踏んで行われ、軽微なものであっても最低で6日は必要とされている。
長友はチームに戻ってきてからも別メニューで調整となったが、これもまた脳震盪後の回復プロセスにのっとったものだ。試合中のアクシデントでもたまに続行させて物議をかもすことも度々あるが、今回は慎重な措置が取られたということだ。木曜日からの復帰では16日のカリアリ戦での出場は厳しいかもしれないが、無事コンディションを上げて臨んでほしいものだ。
さてその長友だが、定位置を再奪取した昨季後半からは一転し、再び出場機会に恵まれない状況に直面したのは周知のとおりだ。リーグ戦での出場は2試合のみとなっており、ELスパルタ・プラハ戦では招集メンバーに名を連らねながらベンチ入り出来なかったこともあった。日本代表から戻った彼は、引き続き厳しいポジション争いの中に身を置くことになる。