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久保建英を“日本のメッシ”と煽る危険性。天才少年苦しめたサッカー史最大の“奇跡”との比較

ことあるごとに話題にのぼる久保建英。以前はバルサに在籍し、現在もその才能をいかんなく発揮する久保には大きな注目が集まるが、スペイン在住記者はその状況に警鐘を鳴らす。“日本のメッシ”とメッシと比較することもあるが、果たしてそのような重圧のかけ方は選手育成にとって健全なのか。同様の騒動でかつては天才少年が苦しめられたことがあったのだ。(取材・文:山本美智子【バルセロナ】)

text by 山本美智子 photo by Hiroyuki Sato , Rafa Huerta , Getty Images

日本メディアに聞かれた「メッシになる可能性」

久保建英
U-16日本代表でも活躍する久保建英【写真:佐藤博之】

 現在FC東京のU-18に所属し、U-16日本代表でも活躍する久保建英くんが日本ではずいぶんと話題になっているようだ。15歳という年齢で“飛び級”し、U-18で既にプレー。中学生ながらトップチームで出場する可能性があるのだから、その才能が注目されるのはある意味当然なのだが、本来、落ち着いて見守るべきの大人サイドがはしゃいでいるように見えるのが気にかかる。

「日本のメッシ」とマスメディアは煽る。だが、“メッシ”であることに伴う重圧や“メッシ”という今世紀のサッカー史における最大の“奇跡”について、掘り下げるメディアは少ない。

 スペイン在住の私は、「久保くんが次のメッシとなる可能性、バルサの10番を背負う可能性があると思いますか」、という質問を日本メディアから何度か受けた。バルサの10番を背負える日は、あるいは来るかもしれない。

 あの中田英寿ですらローマでトッティの控えのポジションから抜け出すことはできなかったのに、イタリアの伝統あるサッカークラブ、ミランの10番を日本人選手が背負う日が来るとは、当時誰が予想しただろうか。

“シティ・グループ”を日本にも広げたマンチェスター・シティが日本人選手を獲得し、プレミアムリーグ優勝を飾れば、そのチームメンバーに日本人選手が名前を連ねる可能性がある時代が来たのだ。考えづらいとはいえ、伝統的なFCバルセロナの10番を日本人選手が背負うことだって、皆無ではないだろう。

 だが、それと次世代メッシとなることは別だ。

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