ウェールズの戦いを分析していた北アイルランド指揮官
北アイルランドのマイケル・オニール監督【写真:Getty Images】
ウェールズと北アイルランドが激突した一戦、裁くのはイングランドの審判団。EU離脱で揺れる英国を形成する4か国のうち、3か国が大陸ヨーロッパの中心的な都市であるパリで顔を合わせた。
前評判でいえば、ウェールズの勝利を予想した人が多かったはずだ。実績の面でいえば若干ウェールズが劣るが、GKにヘネシー、DFにアシュリー・ウィリアムズ、中盤にジョー・アレンやアーロン・ラムジー、そして前線にはギャレス・ベイル、その他の選手たちも含めてチーム全体に力のある選手を揃えている。
グループステージの戦いを見ても、イングランドとの対決には敗れたものの、ベイルを中心に一丸となったプレーでスロバキアとロシアを破って1位通過を果たした。
対して北アイルランドはドイツ、ポーランド、ウクライナと同居するグループCでウクライナに勝利したことで1勝2敗という成績ながら3位で拾われたチームの1つ。選手の顔ぶれを見ても、イングランドの下部リーグ所属が多く、ウェールズと比べると小粒な印象は拭えない。
場合によっては、大差での決着ということも考えられ、この試合の最大の注目ポイントを勝敗ではなく「ベイルは4試合連続ゴールなるか」という点においていた人も少なくはないだろう。
しかし、直前に行われたスイス対ポーランドを含めた全試合の例に漏れず、この一戦も引き締まった好試合となった。その要因は北アイルランドのゲームプランにあった。
北アイルランドのマイケル・オニール監督は、ウェールズのグループステージ3試合の戦いを分析し、ライバルの力を削ぐ方法を見出していた。