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「フィレンツェはいつもクマモトと共に」。警察の阻止乗り越え、伊過激サポが被災地へ込めた熱い思い

text by 宮崎隆司 photo by Takashi Miyazaki , Getty Images

故郷への熱い思いを横断幕に込めるも警察に阻止され……

「でもな、残念なんだが、昨日のスタジアムで、その横断幕の持ち込みを警察に阻止されちまったんだよ。何が書いてあるのかさえ見ずに。なにせ俺たちと警察はもう何十年にもわたり互いを憎しみ合う間柄だからな、昨日、スタジアムの入り口で大喧嘩だよ。試合開始ギリギリまで説得を試みたんだが、あいつら、とうとう最後まで持ち込みを許可しなかったんだ」

 そして、ティノはさらにこう続けてきた。

「でもな、せっかくこうして俺とお前が知り合ったというか、まだ会ってもいないんだが、とにかく仲間になったんだから、今度の5月28日に俺たちティフォージ組織すべてが集まって今シーズンの打ち上げ(フェスタ)をやるんでよかったら来いよ。みんな子供らを連れてくるんで、お前んちのチビも連れてきなよ。

 場所はカンピ・ビセンツィオ(フィレンツェ近郊)の広場。俺の仲間たちもお前と会いたいって言ってるんで、待ってるぜ」

 28日は仕事だけでなく別の予定も入っていたが、速攻ですべてをキャンセルした。ここまで言ってくれるティノの誘いを断ることなんてできなかったからだ。

 そして5月28日。本物のウルトラー軍団が結集するその大きな広場へ向かうと、まさに大迫力な男たちが数百人、まだ午後3時を過ぎたばかりだというのにもうビールを大量に飲んだ彼らの大半は完全に目を充血させている。フィオレンティーナの応援歌が響き渡っている。憎っくきユベントスを罵倒する歌声もあちこちから聞こえてくる。タバコではないであろう匂いとその煙が辺りに漂っている。

 そんな中で、たまたま居合わせた若いがいかにもティフォージの風貌逞しい兄ちゃんに聞くと、事前に命じられていたのだろう、まるで重要な任務を与えられた兵士のような機敏さで各派閥の“ボス”たちがいる場所まで案内してくれた。

 そして遂にティノと、すべての派閥のボスたちと対面。

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