「この俺たちだって心を寄せているってこと伝えたいと思ったんだよ」
「それに、なんといっても、故郷の大切な家族や友人や街の人たちがどれだけ辛い思いをしているのか…、考えるだけでもう涙が止まらなくてな。それで、俺の仲間たちに話したら、それならば是非とも応援のメッセージを送ろうってことになったんだ。
この俺たちにはそんなことしかできないんだが、せめてフィレンツェのスタジアムからクマモトへ、遠く離れているから届かないかもしれないけど、この俺たちだって心を寄せているってこと伝えたいと思ったんだよ」
「そして、聞いたよ、お前たちの街にはものすごく綺麗なカステッロ(城)があって、だがその大切な宝物が甚大な被害を受けてしまったってことも。雄大なAso(阿蘇)も、そのテンピオ(神社)までもが深い傷を負ったってことも。
その話を聞きながら思ったんだ。もしもフィレンツェの大聖堂や鐘楼が、あのトスカーナの丘陵地帯が傷ついたら俺たちの心は一体どれほどの痛みと悲しみに苛まれるんだろう…と。そしたらもうなんだか涙が止まらなくなったんだよ」
彼の野太い声が震えるのを受話器越しに聞きながら、そのティノと仲間たちの優しさに私もまた涙をこらえることができなくなっていた。
「ありがとうティノ」
その一言を発することしかできずにいると、「泣くなよ!」と優しく怒鳴りながらティノはこう続けた。