類まれな目利きで注目集めるモンチSD
フットボールクラブのSD(スポーツディレクター)が、ある選手に目をつけた。このありふれた記述も、そのSDがモンチであるならば、一層の価値を持つことになる。そして私たち日本人にとって、その選手がMF清武弘嗣であるならば、なおさらそうなるだろう。
ラモン・ロドリゲス・バルデロ、通称モンチ。1991年から1999年までGKとしてセビージャに在籍した同氏は、現役引退からほどなくして同クラブのスポーツディレクターに就任し、選手時代には得られなかった名声を手にした。その類まれな目利きであまり知られていない選手を安く獲得し、その選手がしっかりと活躍を見せた後に高値で売るということを幾度も実現し、セビージャにタイトルと財政の安定をもたらしてきたのである。
セビージャは2000年初頭から現在まで、監督はもちろん会長の交代も経験しているが、モンチSDという存在を軸にして安定した成果を収め続けている。クラブはその間にUEFAカップ/ヨーロッパリーグを5回、スペイン国王杯を3回、UEFAスーパーカップを1回と合計9タイトルを獲得。そして選手の獲得総額が約1億6000万ユーロであるのに対して、約3億5000万ユーロという売却収入を記録することに成功している。なかでもバルセロナにはDFダニエウ・アウベス、MFセイドゥ・ケイタ、DFアドリアーノ・コレイア、MFイヴァン・ラキティッチ、MFアレイクス・ビダルと多数の選手を売却しており、合計で1億ユーロ以上もの額を支払わせた。
まさにミダス王の如く、触れたものを黄金に変えることでクラブを支えているモンチSDだが、今夏の移籍市場ではハノーファーに所属していた清武を獲得。この敏腕SDは、日本代表MFにどのような期待を寄せているのだろうか。モンチSD本人に話を伺った。