EURO初出場の北アイルランド。小国が歩んできた歴史
W杯史上最年少出場記録を持つノーマン・ホワイトサイド【写真:Getty Images】
改めて今大会の初出場組5チームを眺めてみる。アイスランドが実質的に世界に認められたのは第二次大戦後、スロヴァキアとアルバニアは国家成立自体、日が浅い。残るのは北アイルランドとウェールズーーー今を時めく、世界で最も高価な男、一名“スピードスター”ギャレス・ベイルらを擁する後者に陽が当たる一方で、アイルランド島北東部の小さな“国”は確かに分が悪い。
だが、フットボール史という観点に限ればどっこい、北アイルランドの実績は後者をはるかに上回って、なかなかのものだということがわかる。
ワールドカップ本大会出場回数:ウェールズ1回に対し、北アイルランドは3回。それも、初出場となった1958年大会では堂々準々決勝に進出している。実はウェールズ唯一の出場も同じスウェーデン大会で、こちらも仲良く準々決勝に駒を進めているのだが、出場に至った経緯が違う。
詳しくは省くが、ウェールズの“快挙”の方は、なんと当時のスエズ紛争の影響で転がり込んできた、変則的タナボタあってのものだったのである。
そのスウェーデン大会時の北アイルランド代表を背負ったのは、スパーズ史上一、二を争う大スター、ダニー・ブランチフラワーだが、黄金期といえば二度目の出場となった1982年スペイン大会だろう。
GKパット・ジェニングズは結果的に同国史上最多の代表キャップ数119を誇った有数の名手、同大会でデビューしたノーマン・ホワイトサイドのW杯最年少出場記録(17歳)はいまだ破られていない
記録といえば、北アイルランドは、W杯本大会出場を二回以上果たし、ゴールをあげ、グループリーグを突破したという点で、史上に最も人口が少ない国として記録に刻まれている。その、侮れない“底力”は推して測るべきであり、今大会もきっと存在を示してくれるものと期待できそうだ。