史上最年少でEUROに臨むイングランド代表
イングランドでは、「まさか」が相次いだプレミアリーグのシーズンが幕を閉じても「予想外」が終わらない。EURO2016への出陣を前にしたロイ・ホジソン代表監督が、慎重なイメージとは裏腹に大胆な姿勢を示したのだ。
5月末に発表された最終メンバーは平均年齢が26歳に満たない。前回大会直前に4年契約で就任したホジソンが、世代交代を含む代表再建の基盤作りを任されていたことは事実。とはいえ、今大会に臨む23名はイングランド史上最年少のEURO代表チームという若さだ。
その象徴がFW陣の1枠に抜擢されたマーカス・ラッシュフォード。マンチェスター・ユナイテッドで育成された18歳は、クラブでも今年2月に1軍デビューを果したばかり。A代表では出場経験「63分」でフランス行きの切符を与えられた。
4月の時点で、今夏のEURO行きは「時期尚早」と語っていたのはホジソン自身。しかし、5月上旬にアーセナルのダニー・ウェルベックが膝の怪我で長期欠場を余儀なくされる一方で、マンUが優勝を果した5月後半のFAカップ決勝まで先発を重ねたラッシュフォードの姿を見ながら、指揮官の中では、若い勢いへの期待が経験不足によるリスクを上回っていったのだろう。
「非常に楽しみな存在だ」としてラッシュフォード招集を決めた指揮官には筆者も賛成だ。ボックス内で見せる若さに似合わぬ落ち着きは天性のストライカーならでは。トップレベルでの舞台度胸も、勝たなければならなかったヨーロッパリーグ戦で2得点のマンU1軍デビューから証明済みだ。
代表でも、5月27日のオーストラリア戦(2-1)の前半3分足らずでデビューゴール。過去3ヶ月間の計19試合出場で9得点という数字からしても、単なる帯同要員ではなく、使える交代要員として国際大会を経験させる価値はある。
他にも、故障癖の不安を決定力への信頼が上回るダニエル・スタリッジが選ばれたFW5名では、プレミア優勝を争ったトッテナムの主砲としてリーグ最高の25得点を上げたハリー・ケインが代表でもエース格。実際に優勝を果たしたレスターで24得点のジェイミー・ヴァーディーがパートナーの有力候補だ。