アトレティコを知るジダン。受け身に回ったレアル
ピッチ上で繰り広げられる戦いは、必ずしもフェアな結果とはならない。しかし、勝者が生まれれば敗者も生まれ、その結果は揺るぎない事実である。
ジネディーヌ・ジダンは、やはりアトレティコを知っていた。2月27日に行われたリーガエスパニョーラ第26節、レアル・マドリーはサンティアゴ・ベルナベウでアトレティコに0-1で敗れている。そして、この一戦でマドリーは66%という支配率を記録していた。
アトレティコの“プレッシング・サッカー”はポゼッションを主とするチームに対して大きな力を発揮する。CL準々決勝でバルセロナ、準決勝でバイエルンが敗れたことも偶然ではなかった。
そのアトレティコの試合を経験していたジダンは、キックオフからポゼッションを優先せず、中盤を超える長いボールを交えながら攻撃を組み立てていた。しかし、アトレティコのDFの固さは変わらず、セットプレー以外で流れの中から良い形で攻撃を繰り出すことはできなかった。
それでも、15分に“事故”は起こる。トニ・クロースのFKをベイルが頭でそらしたボールをセルヒオ・ラモスが押し込む。オフサイドともいえそうな展開ながら、マドリーが先制点を手にした。
貴重な1点を手に入れたマドリーは、その後も積極的な姿勢は見せない。ボールを持つことよりも全体を下げて受け身に回ることを選択した。
もちろん、これは消極的な姿勢というわけではなく、あくまでアトレティコを相手にするためのゲームプランである。自分たちがアクションを起こすのではなく、リアクションに徹することでアトレティコにボールを持たせて、相手の武器である速攻を封じることを狙っていた。