CL出場権は逃すも…マンチーニ監督は手応え
「3位入賞には最後まで挑戦する。もし入れなかったとしても、シーズンとしてはポジティブだったと思う」
4月30日、第35節のラツィオ戦を前にインテルのロベルト・マンチーニ監督はそう語っていた。
1位をひた走りながら順位を落とし、シーズンの中盤には復調したローマにも追い抜かれる。結局ラツィオ戦に敗れたことで3位入賞は消滅した。クラブとしてはチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を目標としていたわけで、成績で見れば成功とは言えないだろう。
ただ、「ポジティブな1年だった」というマンチーニの談話も理解はできる。首位快走も久々であったし、終盤にかけてはサッカーの内容も上向きの状態でシーズンを終えることができた。そして戦力面でいえば、この数年間課題としていた部分もようやく解決がついた。来シーズンに以降の成功に向けたベースができたという点では、確かに価値のある1年を過ごすことができたとも言える。
インテルはまず、確固たるフォーメーションを持たない状態でシーズンに突入した。プレシーズンの間は主力とそれ以外を分け、メンバーのふるい落としを図ろうとしていた節があった。しかし放出も補強もすぐには進まず、10人の新戦力が加わったのは移籍市場が閉まる直前のことだった。
その後もマンチーニ監督は、メンバーとシステムを毎試合ごとに入れ替えた。一見無謀だったが、結果がついてくる。FWから全員が守備に参加し、ハードワークと守備重視の戦術で相手の良いところを潰しつつ、しぶとくチャンスをものにする。1-0で制する試合が多かったことも、まさにその象徴だった。
その中で中心となっていたのは、新たなCBコンビだ。アトレティコ・マドリーから移籍したミランダは経験と落ち着きを、そして開幕当時21歳と若いジェイソン・ムリージョは広いカバーリングのエリアを保証する。彼らとGKサミル・ハンダノビッチは不動でありつづけ、最終ラインで堅守を披露。彼らの存在により、インテルが近年課題としていた中央の脆弱な守備は、ようやく解決を見た。
ただその安定も、すべての選手たちがしっかり守備に参加していたから成り立っていたものでもあった。意思が統一されているので、顔ぶれを変えながらもチーム力にはバラツキが出ない。そんなムードの中で、控えの立場からチャンスをつかむ選手もいた。長友佑都やダニーロ・ダンブロージオはSBとしてローマ戦などで結果を出し、チーム内での序列を一気に覆した。