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Jリーグ 9年前

鹿島・永木、古巣に見せた“湘南スタイル”の片鱗。成長のために選んだ常勝軍団での挑戦

今シーズンから鹿島アントラーズでプレーするMF永木亮太。新天地でのリーグ戦初先発が情熱のすべてを注いできた古巣・湘南ベルマーレ戦で、ピッチも慣れ親しんだShonan BMWスタジアム平塚で巡ってきた4月16日のJ1ファーストステージ第7節。不思議な縁を感じながら、2得点に絡む活躍で3対0の快勝劇に貢献した。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

湘南で培ったルーズボールへ寄せる力

鹿島アントラーズの永木亮太
鹿島アントラーズの永木亮太【写真:Getty Images】

 タッチライン際に置かれた集音マイクが、湘南ベルマーレの曹貴裁監督の怒声を拾う。

「オイッ!」

 ファウルじゃないか――。短い言葉に込められたアピールは村上伸次主審と、昨シーズンまで苦楽をともにしてきた愛弟子の永木亮太に向けられていた。

 鹿島アントラーズが2点をリードして迎えた後半20分。自陣の右タッチライン際でボールを奪ったDF西大伍が、内側のスペースへボールを運ぼうと試みる。

 ベルマーレのMF長谷川アーリアジャスールが、ボールを奪い返そうと長いリーチを伸ばしてくる。その股間を狙って出したパスがずれて、フォローしてきた永木の右側を通過していく。

 体を反転させてスプリントを開始する永木。ルーズボールとの間合いを詰めてくるベルマーレのMF石川俊輝。状況にはほぼイーブンという位置関係で、前者が猛然とスライディングを仕掛けた。

 伸ばした右足で先にボールをとらえたが、直後に石川の足も払う形で転倒させる。この瞬間に曹監督が両手を広げながらファウルをアピールしたが、村上主審はホイッスルを吹く素振りも見せない。

 倒れ込んだ体勢から、永木は右足でボールをかき出すようにしてMF遠藤康へパスを送る。すぐに前を向いた遠藤は、すでに右タッチライン際へスプリントしていたFW金崎夢生にターゲットを定める。

 利き足の左足で、ハーフウェイライン付近から遠藤が正確無比なスルーパスを放つ。ボールとの距離を縮めながら、タイミングを計るように金崎が中央へダイレクトでクロスを折り返す。

 トップスピードでゴール前へ抜け出したのはFW土居聖真。スライディングをしかながら、懸命に伸ばした右足のつま先に弾かれたボールは軌道を変えて、ゴールへと吸い込まれていった。

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