理想だけを求めて散ったベニテス体制下のクラシコ
2015年11月21日、サンチャゴ・ベルナベウで行われた今季のクラシコ第1戦で、レアル・マドリーはバルセロナに0-4という大敗を喫した。
当時チームを率いていたラファエル・ベニテス監督はシーズン当初、ベイルをトップ下に起用する4-2-3-1をメインとしたが、そのベイルやハメス・ロドリゲスが負傷離脱。そのため、その後はカゼミーロをアンカーに起用する4-3-2-1を採用し結果を残していた。
しかし、このクラシコに合わせて負傷者が復帰。ベニテス監督は負傷明けのベイルとハメスを先発起用し、カゼミーロをベンチスタートとした。その結果、バルサの中盤に十分すぎるスペースと時間を与え、ほぼ一方的な展開で惨敗を喫した。
一方、解任されたベニテス監督に代わってマドリーを指揮するジネディーヌ・ジダン監督は、対照的なプランを準備した。ジダン監督は、攻撃的な中盤の選手をモドリッチとクロースに限定。ハメスもイスコもベンチに置き、カゼミーロをアンカーに据えて中盤の守備力を高めた。
また、この布陣はクラシコ限定のものではなく、カゼミーロは3月2日の第27節レバンテ戦から5試合連続の先発起用となっている。ジダン監督は、現役時代に“マケレレ問題”を経験しているだけに、中盤の守備力を重要視しているのかもしれない。
そして、カンプ・ノウでのクラシコでは、この中盤の守備がキーポイントとなった。
カゼミーロは、両チームトップとなる8回のタックルを繰り出してバルサの中盤から自由を奪った。さらにカゼミーロだけではなく、モドリッチもクロースも、そしてベイルもロナウドも高い守備意識と集中力を維持した。