ハーフナー出場時もボールをつないでいた以前の日本代表
時にこうした“なんでもできる”ことがチームの中では色を失い、個性を埋没させることにつながりがちだ。ザックジャパン時代からハーフナーを知る酒井高徳はアフガニスタン戦の前に「ハーフナーが何度も代表に入ってきた時に、それでもボールをつないでしまう時もあった」と振り返っている。
その象徴的な試合が酒井高徳も出場していた2013年10月のベラルーシ戦。1点のビハインドを背負ったまま後半40分を迎えた日本は前線にハーフナーを投入したが、指揮官から明確な指示が伝わらない中で、選手たちは中盤でパスをつなぎながらもゴール前にボールを入れられず、ついにはハーフナーがワイドな位置に動いてチャンスメークに参加してしまう始末。
結局、決定的な場面を作れないまま試合終了のホイッスルが鳴る。これがハーフナーにとって、ザックジャパンでは最後の試合となった。
「1人ひとりが自分はこういう選手なんだっていう要求をしないといけないと思うし、それでチームも個としても強くなっていく。周りが意識するのももちろんそうですけど、僕はハーフナー君の特徴は“高さ”だと思っているので、ヘディングできるボールを上げられる意識や工夫をしたい」
酒井高徳はアフガニスタン戦に出場しなかったが、出ていた選手がハーフナーの最大の持ち味である“高さ”をしっかり活かそうという共通意識があったからこそ、それほど長くない時間の中でもハーフナーの特徴が際立ったのだ。
得点差や相手との力関係を考えれば、周りがもっとボールを回してハーフナーにグラウンダーのショートパスを付ける形を増やしても、大きなチャンスが作れたかもしれない。
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