トッテナムが見せた『躓いても倒れない強さ』
トッテナムは3月2日の28節ウェスト・ハム戦(0-1)に敗れ、レスターを抜いてプレミアリーグ首位に躍り出る機会を逃した。しかし、開幕前のトップ6候補から優勝候補へと躍進したチームが、この敗戦を機に失速するとは思えない。
今季のトッテナムは躓いても倒れない強さを繰り返し見せてきた。8月の開幕4戦は勝ち星なしに終わったが翌月は3戦全勝。開幕節で敗れた後は15節まで無敗を続けた。後半戦に入っても、降格候補から優勝候補へと自軍を凌ぐ大躍進を遂げたレスターに敗れた(0-1)21節後のリアクションは、リーグ戦6連勝だった。
昨季までとは一線を画する確かな足取りは、チームの下半身に当たる後方の安定化によるものだ。最後尾にプレミア随一のGKであるウーゴ・ロリスが控えていても昨季はトップ10最多の53失点だったトッテナムは、今季をリーグ最少失点ペースで戦っている。28節終了時点での失点数を見ても、昨季の「39」に対して今季は「22」だ。
守備改善の要人はアトレティコ・マドリーから獲得されたトビー・アルデルヴァイレルト。昨季はレンタル移籍先のサウサンプトンで即戦力となった新CBは、今季開幕節からヤン・フェルトンゲンと息の合ったコンビを見せ、昨季とは違って正CBコンビが定まった4バックの安定性が増した。
補強の主担当は昨季途中にサウサンプトンから引き抜かれたポール・ミッチェルだが、監督のマウリシオ・ポチェティーノには自身の前任地からチーム作りの片腕を呼び寄せた他にも手柄がある。
【次ページ】躍進を支える、監督の三大基本原則