前半戦は勢い任せのチームに岡崎も戸惑い
この原稿の依頼が届いた日、筆者はイタリア人の友人と食事をする機会があった。ロンドンに長らく住んでいるが、いまだにミランとイタリア代表を愛してやまない男である。ただその一方で、攻撃サッカーの信奉者だ。
そんな彼にクラウディオ・ラニエリ監督の印象を聞いてみると、「昔からそうだが、つまらないサッカーをする監督。大した実績も残していないし、レスターでもネガティブなサッカーばかり。古いイタリア式サッカーの典型だ。今季は特にプレミアリーグのレベルが落ちているから、偶然上位にいることができているとしか考えられないな」と、同胞の老将を真っ向から否定した。
ロングボールでつまらないサッカー。確かに、突き詰めればそのとおりである。開幕から前半戦の途中までは、得点数こそ多かったものの、攻撃のバリエーションは非常に乏しかった。人数をかけてゴールを守ったのち、手数をかけずに後方から前線のジェイミー・バーディーへと一気にボールを送り込む。それを好調のエースが仕留めるやり方が常套手段で、そうでない場合は、リヤド・マレズの個人技から得点するかのどちらかであった。
このような緻密さのかけらもない行き当たりばったりのサッカーは、昨季後半に勢いで相手を押し切る戦法で連勝を飾り、最終的に降格を免れたナイジェル・ピアソン前監督のチームそのものだった。
昨年10月31日のウェストブロムウィッジ戦後、岡崎慎司にチームの好調の理由を、そしてイタリア人指揮官が特別なことをしているのかを尋ねたことがあった。すると「(監督が何かしているというのは)ないっすね。(好調は)いつか終わるんだろうなと思うんですけど、全然終わらない(笑)」という答えが返ってきた。
さらにその翌週、ワトフォード戦でも「勝ち続けているのは不思議。前半だけ見ていたら機能していないと思うんですけど、後半に入るとうまく機能する」と首をひねっていた。