ドルトムントを覆った「苦し紛れの感じ」
創造性に乏しかった。2016年2月13日のブンデスリーガ第21節、2位のボルシア・ドルトムントは最下位のハノーファーをホームに迎える。
BVBの監督トゥヘルが「激しくとてもコンパクトに守備をした」と評したように、ハノーファーは4-1-4-1の布陣で自陣に構えた。ドルトムントが前に仕掛けて来るところで、インターセプトを狙う。
よってゲームは、ほぼハーフコートマッチの様相を呈した。構えるハノーファーの前で、ドルトムントがボールを回す。トゥヘルは「我々は最初の15分から20分はとても良い始まり方だった。敵陣でボールを支配したね」と振り返った。
パスが繋がり、ドルトムントは「ボールを支配」する。しかし、決定的なチャンスに結び付けることは出来なかった。
16分、ロイスの直接FKがクロスバーを叩いたが、目の覚めるような連動や連携でハノーファーのゴールを陥れるようなところはない。香川真司はSBとCBの間でボールを受けて、リズムを生み出そうとしたが「ちょっと苦し紛れの感じはありました」と言う。
「あそこでボールを受けてもなかなか2枚目、3枚目がなかったので、仮にボールを受けたとしても、すごく距離感も遠かったりして、ちょっとボールを受けたところでっていう形はあった」
香川は後半戦では初の先発で、プレッシャーの中でボールが足に付かないところもあり、どこか試合勘に欠けていた。しかしそれは香川だけではない。「苦し紛れの感じ」はドルトムントの全体を覆っていた。
かと言ってBVBがピンチを招くこともない。36分、酒井宏樹に右サイドを深く抉られたが、エリア内のベックにはうまく合わない。そしてハノーファーのカウンターの芽もしっかりと摘んだ。それでもハノーファーに対するポゼッションに躍動は無く、どこかチグハグだった。