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U-22日本代表キャプテン・遠藤航が語るプロの道を切り開けたワケ

いまやA代表にコンスタントに選出され、現在行われている『AFC U-23選手権』では不動のキャプテンとしてチームに欠かせない存在になっている遠藤航。遠藤は小学生時代のトレセン経歴もなければ、中学に上がるときにはJクラブのセレクションにも不合格になるなど、中学までは無名の選手だった。そんな遠藤がプロの道を切り開けている理由とは。(『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.34』より一部転載)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

キャプテンシーが身についた中学時代

U-22日本代表キャプテン・遠藤航が語るプロの道を切り開けたワケ
遠藤航【写真:Getty Images】

 遠藤が入学した南戸塚中は、2年前までサッカー部が休止状態に陥っていた。彼が出会うことになる大野武監督(現横浜市浜中学校、神奈川県中体連サッカー専門部部長)が赴任してきた2004年春の時点では、ボールもなく、ゴールにネットも張られていない状態だった。高校時代にインターハイ出場経験のある当時30歳そこそこの熱血監督は、この状況を何とかしようと手を尽くし、1年がかりでまともな運営ができるように整えた。そんな陰の努力がなければ、遠藤らは充実したサッカー生活を送れなかっただろう。

「部員は小学校の頃より多くて、3学年で50~60人いました。ただ、中学から始めた人もいれば、ずっとやってきた人もいて、かなりレベル差がありましたね。校庭も物凄く狭くて、野球部やテニス部と区切って使ったりするので、サッカーコート1面はまず確保できない。そういう環境なので、できることも限られていて、ボールを投げてインサイドキック、インステップキック、ヘディング練習、ボール回し、シュート練習、できる時はゲームみたいな感じでした。

 それでも先生がすごく熱心な方で、基本技術の大切さを改めて学ぶことができました。ピッチ外でも挨拶や礼儀の大切さを日々指導され、勉強もちゃんとしろと言われていました。小学校時代の自分は少しヤンチャな部分もあったけど、先生の話をすんなり受け入れているうちに、落ち着いてきたのかなと思います」(遠藤)

 南戸塚中は指導スタッフが充実していて、大野先生を筆頭に、外部指導者の山本コーチが定期的に見てくれていた。加えて遠藤が中2になってからは、それまで柔道部の顧問だった高橋奨先生(現横浜南高校、関東トレセンGKコーチ)もGKコーチとして加わり、3人体制になったのだ。

 とはいえ、中学校の先生は授業や生活指導も忙しいから、毎日グラウンドに立てるわけではない。そういう時はキャプテンが練習メニューを聞きに行き、実際のトレーニングを進めることになる。最高学年になってからは遠藤がその役割をつねに担っていた。

「練習を仕切るのはもちろん、ゴールを運ばせたり、用具を後輩に準備させたりといろんなことをやりました。遠征に行く時も、先生は車で直接会場入りしますから、僕が全員を引率する形になる。大勢で行くので迷惑にならないように『2列に並べ』『間を空けずに歩け』と注意していました。ホントにいろんなことがあったけど、その経験を通してキャプテンシーが身に着いていきましたね」

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