本田、“パワー”で得点を演出
「おい、本田をミランから連れ出せ。奴らは彼を潰してるんだぞ」
コッパ・イタリア5回戦、サンプドリアvsミランのハーフタイムで、あるミラン番のベテラン記者が吐き捨てた。もっとも本田圭佑絡みで何かスキャンダルが発覚したという話ではなく、彼をベンチに縛り付けつつひどい内容に終始していることから、移籍を勧めたというニュアンスだ。
実際、ターンオーバーを最小限にとどめたミランの前半の内容は悪かった。ビンチェンツォ・モンテッラ新監督の指導のもと、ポゼッションサッカーが様になりつつあるサンプドリアに対し、守備が後手に回る。ボールを奪ってもミスが多い上に、かつパスを回し合う連係も育っていないという状態では得点はおろかシュートにも行けなかった。
特にアレッシオ・チェルチは、突破をするにもパスをするにもミスを連発。ミランがエムバイエ・ニアングのゴールで先制に成功したあとも波に乗れず、後半23分に交代で本田が入る。「ミランは実質10人で戦っていたのが、これで実質9人になるじゃないか? サンプが有利になる」そういう悪口を言っていたジェノア番の地元記者もいた。
まあもっとも、本田は試合終了間際にカルロス・バッカの追加点を演出することになる。サンプの右SBマッティア・カッサーニとハイボールを競ったのち、相手を切り返しで振り切り、フリーのバッカへパスを繋いだ。サンプには退場者が出て10人で戦っていたという有利はあったし、その後バッカは個人技で詰めたDFを交わしているから本田のパスがアシストと呼べるのかも微妙だ。ただこのゴールは確かに、本田自身の戦略とパワーで演出したものだった。
チェルチと交代してからは右サイドハーフ、ジャコモ・ボナベントゥーラが下がってからは左サイドハーフとしてプレーしていた本田だったが、直近のクロトーネ戦などの動き方とは少し違った印象を受けた。
これまでは律儀にアウトサイドに張り付いてウイングをやり、その度にスピード不足の粗が出て失敗していたが、この日は攻撃面で積極的に絞り、かつ前線に行く。昨季、フィリッポ・インザーギ監督下で行っていたプレーと似たような印象を受けた。