トゥヘルが試した新戦術は“ロンド”の如く
ボルシア・ドルトムントがヨーロッパリーグ(EL)の決勝トーナメント進出を決めた。2015年11月5日のグループC第4節で、BVBはホームでガバラFKに4-0で勝利する。完勝だった。スコア上の見せかけではない。ガバラにゴールを脅かされる場面は全くと言っていいほどなかった。
そもそもガバラは、アゼルバイジャンでそうしたように、コンパクトな守備から鋭いカウンターを仕掛けた4-4-2でドルトムントに挑んでこなかった。
BVBの監督トゥヘルは振り返る。
「ホームとは違った原則で、非対称的な3-4-2-1で守ってきた相手に対して、我々は対応しなければならなかった」
アゼルバイジャンのホームで牙を剥いた獰猛さは、鳴りを潜めた。5バック気味でガバラはBVBとのアウェイゲームに臨む。“怯えたリスペクト=ガバラの重心”は後ろに寄って、ドルトムントに対して構え過ぎていた。
そんな中でトゥヘルは、前半に実験的な試みを行ったようである。守備時には基本的に4-2-3-1で構えた。フンメルスとベンダーの2CBに、バイグルとギンターが2ボランチを組む。
実験的だったのは、攻撃時のことだった。後方にベンダーが1人で残り、その前にフンメルス、バイグル、ギンターが並ぶ。シュメルツァーとピシュチェクの両SBは高い位置を取る。そしてガバラのDFラインに沿って、オーバメヤン、ムヒタリヤン、ロイス、カストロの4人はポジションを取ろうとする。
それはまるで“ロンド”のトレーニングを、実際のピッチ上で行っているようだった。シュメルツァー、フンメルス、バイグル、ギンター、ピシュチェクで半円を描いてアタッキングサードを覆い囲もうとする。半円の中でオーバメヤン、ムヒタリヤン、ロイス、カストロはスペースを作ろうと、パスを受けようと敵を引き連れて動く。
トゥヘルは「ポジションを見つけることは全くもって簡単じゃなかった。数的優位を作り出すつもりだった」と言う。