4戦勝ちなしの停滞感を吹き飛ばす
必勝を覚悟した。前節は王者バイエルンに1-5で大敗した後では、なおさらのことだ。香川真司は、語気を強めた。
「バイエルンにああいう負け方をしたんで、しっかりと自分たちは結果で示さないといけなかった」
そして2015年10月16日のブンデスリーガ第9節、マインツとのアウェイゲームで、ドルトムントは“らしさ”を取り戻した。公式戦4試合で勝利なしという、ちょっとした停滞を吹き飛ばすために、BVBは金曜の夜に踊った。
ハイプレスと爆発的なカウンター。今季からトゥヘルがポゼッションを付け加えたが、ハードワークこそがドルトムントの骨頂であることに変わりはないのだ。香川は「試合前にみんなでハードワークするって凄く強調していた」と言う。
もっとも、対するマインツもよく走るチームである。試合後にBVBの監督トゥヘルは「彼らはコンパクトでハードワークしていた」と評した。ドルトムントも序盤は苦しんだ。
マインツは5分、ボランチを軸とする丁寧な繋ぎから、大きく左サイドに展開してくる。最後は上がったSBベングトソンがクロスを入れるが、中央で武藤嘉紀は決め切れず。9分には、サンペリオが中央で奪って、そのままドリブルで仕掛けてくる。
「上手くポゼッションされていたんでなかなか取りどころが見つからなかった」と香川は言う。マインツはBVBのハイプレスをかい潜り、またハイプレスからボールを奪って速攻を仕掛けてきた。
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