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岡野俊一郎と金子勝彦が語る日本サッカー(その1)健全な組織の発展妨げた川淵氏の権力増大と院制

text by 藤江直人 photo by editorial staff

ハードな指宿合宿は代表スタッフの過失

岡野 メディアが持ち上げていただけで、実際の中身は勝つ要素がなかったじゃないですか。準備段階で犯した最大のミスが、指宿で愚かなトレーニングキャンプを行ったこと。選手たちが日本を発つときの表情を見たら、これはダメだと思った。

 指宿であそこまでハードなトレーニングを積む必要はなかった。心身ともに疲弊した状態で時差もあって気候も異なるフロリダへ行ったわけですけれども、日本人は基本的に旅行に弱い。フロリダで回復すると考えていた点で、ザッケローニ監督以下コーチングスタッフはミスを犯していた。

 加えて、コーチ陣の中に日本人がいない。分析とフィジカルのアシスタントコーチがいるだけでは、選手たちがどのような状態にあるのかが正確に伝わらない。これはザッケローニ監督と契約を交わす際に、日本人コーチを入閣させなかった日本サッカー協会の技術委員会のミスです。

 ブラジルに入ってからのコンディショニングにも問題があった。比較的涼しいベースキャンプ地のイトゥから前日に試合会場に入っていたけれども、南米のチームですら2日前には開催都市に入って気温と湿度に慣れようと必死だった。

 まともなコンディションで臨めば、コートジボワール代表かギリシャ代表のどちらかには勝てていた。それくらいの実力はあった。叩かれている選手たちが本当に気の毒ですよ。

金子 選手の起用法を見ても、例えば遠藤はかわいそうでしたよね。

岡野 日本のリズムで攻めて勝とうと考えていたのならば、いままで日本の攻撃のリズムを作っていたのは遠藤じゃないですか。その遠藤が1戦目、2戦目と途中から出場して、最終戦は最後までベンチだった。守備に比重を置いて戦うのならばそれでもいいけれども、これではリズムが出るはずがない。

 起用法も信じられなかったけれども、ナショナルチームの監督を務めた経験のない人間に指揮を任せたらどうなるかは、ジーコ監督の下でグループリーグ敗退を喫したドイツ大会で学んでいるはずなんですけどね。

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