本田に何が必要なのか?
――では、元ストライカーとして今の本田に助言するとすれば?
「これもまた同じ答えになってしまう。それはこの僕が口にすべきことじゃない。そもそも今の本田自身が周りからの助言を必要とはしていないはずだからね。彼には経験もあるし実力もある。できることをやればいい。
それなりの重圧が掛かることも当然のことながら本人が最も良く分かっていたはずだし、その重さに耐え得るという確たる自信があったからこそ自ら10番を選んだはずだからね。僕はその彼の内面の強さを信じている。
その上で、ただ一言だけを付け加えるとすれば、といっても繰り返しになってしまうのだけど、結果を出すには『時に悩みながら、もがき苦しみながら、誰よりも多くトレーニングを重ねる以外に他の方法はない』。もっとも、そんなことは今さら言われなくても彼ならば分かっているはずだけどね」
――ところで、その現ミランのトップチームに関してなんだが、先の1月にアッレグリが解雇された際、呼ばれたのはプリマベーラで指揮をとる君ではなく、遥か遠いブラジルにいたセードルフ。少なからず思うところがあったはずだが。
「もちろん失望は小さくなかった。監督をやる以上は誰だって上を目指す。当然だろ? 隠す必要なんてないと思うんだよ。
ただ、その一方で、この“僕の”プリマベーラを今季最後まで率いる責任を強く感じていたのも紛れもない事実だからね。と同時にサッスオーロからのオファーも届いていたという状況の中での決断は容易じゃなかった。
大切なのはGM(ガッリアーニ)と僕の認識が一致していること。先を急ぐ必要はない。そしてもう一つ大切なのが、ミランというクラブが一度として僕を裏切ったことがないという事実であって、対する僕もまたミランを裏切ることは絶対にない。この信頼関係が揺るがないからこそ今の僕はミランの下部組織を率いている」
――そして最後に、この質問を。この6月に始まるW杯で最後に勝つのは?
「ブラジル。ただし、僕の大切な友人であるカカーが招集されるのであれば、という条件付きだけどね」(※取材はブラジル代表が正式発表される前に行った)
【了】