隠されていた対戦国への強烈なメッセージ
「もし、負けるようなことがあった場合は、良いプレーだったと相手チームをたたえられるような戦い方をしたいと思う」。ここも同様だ。「我々を倒す相手がいるとすれば、私は自分から(相手に)握手を求める。敵が極めて優れたプレーをしたということだ」。“極めて優れた”を2回繰り返した。
前述の“辱めた”も含めて、対戦国に向けての発言ではないだろうか。打ちのめしますよ、そして“あなたたちが極めて優れていなければ日本を倒すことはできませんよ”と。挑発ともとれる発言だ。指揮官はメディアを通して、早くも仕掛けたことになる。
ここまで長く検証してきたのも、ザッケローニの意図を伝える義務があると思ったからである。この記事が翻訳される可能性は高くはないかもしれないが、指揮官の真意は何としてでも発信したい。そして対戦相手に伝わることを切に願う。あなたたちは極めて優れた相手ですか? と。
さらにこんなことも言っていた。これも伝えるべき指揮官の真意だろう。「外部からの圧力を防ぐ選手たちにはストレスの掛からない環境・状況を作っていきたいと思うし、プレッシャーが掛かる場面でも自分たちのサッカーに集中させていきたい」
ここでは、「自分が選手の盾になる。そうなってでも選手たちを守る」と断言している。さらにプレッシャーについても、「選手たちへのプレッシャーはピッチ内でのものに限られる」とも語っている。
これは、お願いの体裁をとっている。誰に? 日本のメディアにだ。過度に騒ぎ立ないことをお願いしているのだ。もちろんこれをどうとらえるかは各メディアに委ねられるわけだが。
以上が代表発表で述べられたザッケローニ監督の真意だ。単に23人を発表しただけでなく、指揮官からの強烈なメッセージが込められていたのだ。
戦いは既に始まっている。日本のメディアは翻訳された言葉をただ流しただけだった。意図を汲み取ろうとしたメディアがどれだけあっただろうか。我々は可及的速やかにW杯モードに入らなくてはならない。今のところ、指揮官と我々は見ている景色が違う。
【了】
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