嫌韓な浦和のウルトラ。既に火種はあった
『月刊浦和レッズマガジン』3月号で、ライターの青山鼓氏が、サポーターグループ「URAWA BOYS」の初代リーダーの相良純真氏にインタビューをしている。次のようなくだりがある。
――李(忠成)はどうですか?
「浦和のウルトラは韓国が嫌いだからね。ウチの歴史にはないことだから、最初はいろんな反応が渦巻くと思う。昔はチョウ(キジェ)さんがいたけれど、今ほど嫌韓の雰囲気はなかったからね。クラブのスタッフが本人(李)に伝えているそうだけど、本人が相当の覚悟を持って浦和に来るということは僕も感じるんだよね」
このコメントは元サポーターグループのリーダーが、ウルトラが韓国を嫌っていて、李を獲得すれば波紋を呼ぶことを示唆している。またクラブ側も李にそれを伝えたと話しているのだ。つまり浦和レッズ関係者にとって、今回の差別問題は青天の霹靂ではない。
既に火種があることを知っていて何も手を打たず、必然的に事件は起こった。しかも試合途中で横断幕を撤去もせずに、さらに穏便に済ませようとした経緯までが透けて見える。
横断幕を掲げた当事者から事情を聴いたという淵田敬三社長は、「差別する意識はなかったと話している」とリーグに報告したそうだ。しかし彼らが明白な差別意識が抱いていたことは、誰よりもクラブ関係者が知っていたはずで、それは上記のコメントから読み取れる。
いったい浦和レッズは、何を最優先に守ろうとしたのだろうか。
【次ページ】李へのブーイング。加害者をかばっているような対応