「やっぱり周りとタイミングを合わせることが一番大事」

　この2試合を通して、柿谷はいいタイミングで飛び出そうとしているのだが、周りが感じていないというケースが少なくなかった。

　セレッソのチームメート・山口螢も「曜一朗君は外から見ていても、ボランチが持った時はつねに裏に飛び出していた。それを誰も見ていなかったのか、見てて出していないのかわからないけど、曜一朗君の一番の持ち味を生かせていなかったと思う」と苦言を呈したが、ザックジャパンでは柿谷が生きるパスがまだ供給されていないのが実情と言える。

「大きい相手にはスピードでは勝てるとは思っていたんで、裏へ抜け出すとか、カウンターの切り替えってところは意識してやっていましたけど、まあ意識してやったからって結果が出えへんかったら一緒なんで。

　やっぱり周りとタイミングを合わせることが一番大事だと思う。もっと練習からやっていければいいですね。ボールが来なくても常に裏を狙い続けるだけですけど、時には自分が下りてもらうとか、バリエーションを出さないといけないですね」と柿谷は周囲との連携を高めることにこれからも重点を置いていくつもりだ。

　これでザックジャパンでは5試合無得点。ゴールを奪うことで代表への道を切り開いてきた彼にしてみれば、不本意な結果というしかない。ただ、本人は「点を取れないことにストレスはない。ストレスを感じていても点は取れない」とキッパリ言い切り、強い信念を持って自分のプレーを追求していくという。

　今回の2連戦で感じた課題を糧にして、柿谷は11月のオランダ・ベルギー2連戦では今度こそ勝利につながるゴールを奪わないといけない。短期間で劇的な真価を遂げてきた彼ならそれができるはずだ。ザッケローニ監督にはまだ非凡な才能のすべてを見せていない。

【了】

関連リンク

危機感を抱きながら前を向く本田圭佑「失点は不運。よかったところもあるし、悲観する必要はない」
最も難しい方法で漫然と攻撃していたザックジャパン。解決されない香川・不調時の「穴」
いま注目のセレッソ大阪・柿谷曜一朗選手特集!!　１対１を制する超実戦的フェイントと少年時代の思い出