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元エルゴラ編集長による『サッカー批評』批評。縮小傾向のメディアと真実を書きにくいサッカー界の厳しい現実

text by 川端暁彦 photo by Asuka Kudo / Football Channel

サッカーファミリーって何?

 かつてサッカーは日陰にあった。マイナースポーツだった。業界は狭く、簡単に食えないのが当たり前で、だからこそ支え合って生きていくのが当然だった。サッカーメディアの仕事もまた、その日陰の内にあったからだ。

 巻頭言の中で、我那覇和樹ドーピング冤罪事件を『批評』が取り扱ったとき、Jリーグ関係者から「同じサッカーファミリーとして残念」と猛抗議を受けたという下りがある。抗議のターゲットになったのは、記事の内容、事実か不実かということではなく、スタンスである。

「お前はサッカー業界の中の人じゃないの? 何で共食いみたいなことをするの?」という理屈だ。

 私も座談会の中で似たような事例に言及させてもらった。とあるJ2クラブから「批判自体は間違っていないが、ウチのような小さなクラブをいじめて楽しいのか?」と抗議を受けて困ってしまったというエピソードである。

 記事内容の正誤をめぐる話ならば反論のしようもあるが、相手は批判の内容が妥当だと認めつつ「ウチの経営状態は本当に危ないのだから、いじめてくれるな」と言ってきたわけである。これは困った。

 結局、事実誤認がないなら記事の撤回や訂正はできないと断りつつも、その言葉を一理もなしと叩きつぶす勢いは持てなかった。実際、Jクラブの多くは、外から見える以上にギリギリのラインに立っているのである。

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