話を急加速させたベルルスコーニの独断
なぜここまで急速に話が進んだのか。それは新シーズンのミランの戦力構想によるところが大きい。アッレグリ監督は当初、4-3-3の布陣で来季臨む予定だった。ところが、とんでもないことがクラブ内で決定する。
先の6月2日、なんとオーナーのベルルスコーニ氏が監督に4-3-1-2を基本布陣とすることを厳命したのだ。そこで急遽、トップ下の選手が必要になり、ガッリアーニ副会長は本田獲得へ動いた。
こんなことがあり得るのだろうか? 記者は「ミランではよくあること」とさらりと返答した。ちなみに本田への決定打はコンフェデの日本対イタリア。ここでのプレーを見て首脳陣は決断した。
実は本田以外にも獲得候補はいる。「トップ下」としてパストーレ(PSG)、イリチッチ(パレルモ)。さらにFWのヨヴェティッチ(フィオレンティーナ)だ。ただ、イリチッチは年間を通してのパフォーマンスが不安視され脱落。
他の2人は高額な移籍金がネックとなり、保留中だという。仮にどちらかを獲得するとすれば、エル・シャーラウィを30億円程度で売却する必要がある。選手としての質、そして移籍に伴う収入増、この両方が総合的に判断され、本田は一番手の獲得候補となり、加入に至ったのだという。
気になるのは入団会見の日取りだ。記者は「7月14日~23日」だと言う。というのも、7月13日にはロシアスーパーカップがある。出場すれば、そこが本田の(CSKA選手としての)ラストゲーム。そして、ミランは7月26日~8月9日まで遠征を行う。首脳陣は何が何でも遠征に帯同させる意向がある。
本田の移籍話は過去何度も過熱し、“エアー移籍”なる言葉も生まれた。クラブ公式発表があるまで日本のファンも100%信じ切れないかもしれない。だが、イタリア人記者は明言する。
「何度も言うが間違いない。むしろ、入団会見がいつになるのか、そして本田がミランで輝き、そしてクラブをどれだけ高めてくれるかを考えるべきだね」
これこそ本田の移籍報道の決定的なものだ。本田がどれだけセリエAの舞台で活躍できるか、そこに関心を移すときがきたと言っても過言ではないだろう。
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